ロレックスほどのブランドとなると「複雑機構」という要素は当たり前という印象がありますが、従来オイスター系にはそういったものがありませんでした。
もちろん、そのような時代のロレックスにおいて、価格面では複雑機構に匹敵する上級モデルは存在していました。ただ、そういったものは「複雑機構」といった内部機構的アプローチではなく、「ダイヤ」というような外装面での高級要素となっていたのです。
しかし、2000年代後半になると、そういった従来のイメージを徐々に打破。最初に複雑機構として登場したのは2008年のこと。その際登場したのがヨットマスター2のレガッタクロノグラフです。
そして、2012年、ロレックスはついに年次カレンダーを登場させるわけですあ、そのモデルこそ、このスカイドゥエラーであるわけです。
複雑機構という要素は、2019年現在でもロレックスとしては少数派ですが、その意外性とレア感、また金無垢のみ展開のモデルということと相まって、スカイドゥエラーは最も高級なシリーズという印象になりました。
ただ、そんなスカイドゥエラーには、2017年、ほぼSSモデルともいえる326934が登場。末尾が4のモデルといえば、デイトジャストでもおなじみ、WGxSSコンビモデルですが、この仕様の場合、ベゼルのみがWGとなるため、YGxSSコンビと比較して、SSモデルに近い印象となります。
スカイドゥエラーは、そのキャラクター性から、デイデイトのように、金無垢プラチナのみといった内容でずっと展開されていくと予測する方も多かったでしょう。実際、筆者もそう思った一人なのですが、スカイドゥエラーにYGコンビ等々が登場したときは、「ヨットマスターのような展開になるのか」と驚きました。
また、スカイドゥエラーにはWGモデル326939があるため、326934は、見た目がほぼ同様で安価に購入可能という存在となってしまいます。
ヨットマスターの場合、ほぼSSなモデルとして、1999年にロレジウムを発表しましたが、高級カジュアルといった特別感を演出していました。
しかし、スカイドゥエラーの場合、326934に対する特別な要素はあまり感じることができず、326939との差が分かりづらい傾向があるわけです。
そういった意味では、326934はスカイドゥエラーとしては安いものの、326934としての特徴は弱く、非スポーツ系であることも相まって、あまり高くならないということになっても不思議ではありません。
けれども、そんなスカイドゥエラーは、なんと2017年の新品実勢価格より、今の中古水準のほうが高いという傾向。しっかりとした値動きをする存在であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年10月 の新品実勢価格 |
2019年12月 の中古安値(ヤフーショッピング) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
スカイドゥエラー 青文字盤 326934 |
新品 | 2年 2ヶ月 |
¥2,300,000 | ¥2,488,000 | 188,000 | 108.17% |
ちなみに、2018年1月には、約224万円という新品実勢価格だったため、それを基準とすると、現在中古水準はさらに上昇していることになります。
この326934には、白、黒、青文字盤がありますが、最も人気なのがこの青文字盤。現在、白文字盤だと180万円台という中古水準であるのに対し、青文字盤は240万円台という水準。
文字盤色によって60万円近い相場差が生じているわけですが、それが「青:白」というのが面白いといえます。
文字盤色による価格差は20年ほど前の段階から、ロレックスでは珍しくない現象ですが、青文字盤が高いというのは、おそらく初のことだと思います。
もちろん、2014年に登場したミルガウスのZブルー文字盤がありますが、それは「Zブルー」という名称が与えられていたり、ミルガウス発表後7年目という段階で登場したため、特別感があると言えます。
それに対して、このスカイドゥエラーの青文字盤は、色合い的な意味でいうと、従来のデイトジャストやエアキングのキャラクターと大きく変わらないといえます。
それは、青文字盤だけでなく、黒、白文字盤に対しても同様なのですが、そのようなラインナップにおいて、青文字盤が飛び抜けて高いという現象は、これまでの常識だとかなり意外だといえるでしょう。