2017年に、スピードマスター60周年を記念して登場した311.10.39.30.01.00。
初代スピードマスターを復刻したモデルだといえますが、初代の復刻モデルはこれが初めてではありません。
他の復刻モデルとしては、3594.50という存在がありますが、そちらはムーンウォッチをベースとした印象で、文字盤デザインとベゼル形状が異なるといった差。当時の定価や新品実勢価格も、3570.50と大きく変わりませんでした。
それに対して、この311.10.39.30.01.00は、その全てが専用設計といった印象。文字盤デザインが異なるのはもちろんですが、新品の状態であえて経年劣化した雰囲気に味付けされており、ブレスレットの形状も旧世代と同様となっています。
そして、定価も約85万円という水準。これは、現行のムーンウォッチの定価である約60万円と比べて高い印象です。
また、そういった印象は、新品実勢価格となるとさらに顕著。ムーンウォッチの場合、現在複数の時計店で30万円台後半といった価格で新品が入手可能であるのに対し、この復刻モデルは70万円以上といった水準であるのです。
そのようなことから、これまで中古相場でも、この311.10.39.30.01.00は随分高い印象があり、実際、2019年3月の段階でも約69万円という水準だったのです。
これは、2018年9月と比較して6万円の値下がり状態だったのですが、そのような値動きは当時特に違和感がありませんでした。
なぜなら、この311.10.39.30.01.00は、2019年3月の段階でデビューしてから2年が経過したからなのですが、デビューから時間が経過したことによる値下がりは珍しくありません。
最近は、デビュー時の新品相場より、その後の中古相場のほうが高いという現象がありますが、このオメガ311.10.39.30.01.00のようなキャラクターの場合、そういった値動きをするハードルは高いと思われます。
そして、12月現在、この311.10.39.30.01.00はさらに下落している様子。現在の中古ボトム価格は約59万円という水準なのですが、これは3月比較すると10万円という値下がり状態であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年3月 の安値(楽天) |
2019年12月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オメガ
スピードマスター プロフェッショナル 311.10.39.30.01.001 |
中古 | 0年 9ヶ月 |
¥698,000 | ¥598,000 | -100,000 | 85.67% |
311.10.39.30.01.00は、2019年において値下がり傾向となっているわけですが、この動きは他の時計と異なる下落だと感じます。
ロレックスやパテックフィリップの人気モデルも、2019年に値下がりしたという印象がありますが、それらは「上半期に目立って上昇、下半期に下落」といった動きです。
それに対して、311.10.39.30.01.00は、2019年3月の段階から値下がり傾向だったため、2019年においてずっと値下がり傾向だったといえます。
筆者は、311.10.39.30.01.00がこのような値動きとなっていることに対して特に違和感はありません。
その理由は、先にも述べたように2017年のデビューから時間が経過したからです。
311.10.39.30.01.00は、他のオメガと比べると飛び抜けて高い印象があり、「差」も大きいと感じます。
そういった演出された特別さがあった場合、意外性は弱まるため、著しい「需要>供給」状態とはならないのだと思うわけです。
この311.10.39.30.01.00は、今後デビューからさらに時間が経過することになるわけですが、後々の時代になってこそ、この311.10.39.30.01.00がどういった評価になるかが分かるのでしょう。
将来、この311.10.39.30.01.00が結果的に「実は名品だった」というキャラクターになれば、その時初めて高い評価を受けるのだと思います。