パテックフィリップの「トラベルタイム」といえば、かつてはカラトラバファミリーといった印象がありましたが、今ではアクアノートというイメージが強いかもしれません。
かつてのカラトラバトラベルタイムが、コンプリケーションモデルの中では、抜きん出て高いといった印象ではなかったのに対し、近頃、トラベルタイムを搭載したモデルは年次カレンダーより高いという印象があるぐらい、そのイメージは変化したといえます。
さて、そんなトラベルタイムの中でも、最も高い存在感だと感じるのが、この5524G-001というモデルですが、2015年に登場して以降、「人気かつ高い腕時計」という印象があったといえます。
実際、実勢価格も定価を上回る“プレミア価格”状態となっており、約570万円の定価に対して、2018年1月の新品実勢価格は648万円という水準だったわけです。
先のように、5524G-001が登場したのは2015年ですから、2018年1月という時期は、デビューしてから3年近くが経過していたわけです。そういった時期でも、この5524G-001はプレミア価格状態だったわけですから、やはり「高い」という印象がありました。
中古で見かけることも少なく、出たとしてもその価格はやはり随分高いと感じる水準。そういったことから、この5524G-001という存在は、「幻の超高いパテックフィリップ」という印象だったといえます。
また、2017年にはこの5524G-001と同じ系統デザインの、5522A-001が限定モデルとして登場。5524Gが、WG、トラベルタイムという高級仕様であるのに対し、5522Aは、SS、3針というシンプルなモデルですが、5522Aのほうが高い傾向があります。高級素材の複雑機構より、レアなシンプルSSモデルのほうが高いという現象はよくあることですが、これらパイロットウォッチな2本はいずれも高いという印象があったといえます。
しかし今、そんな5524G-001には大きな異変が起こっているのです。
先のように、これまで5524G-001に対しては「高い」とか「幻」といった印象があったといえます。
けれども現在、5524G-001の印象は大きく変化したといえる様子。複数本の中古が売られていると同時にかなりな値下がり状態となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
|
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年1月 の新品実勢価格 |
2020年1月 の中古安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
トラベルタイム 5524G-001 |
新品 | 2年 0ヶ月 |
¥6,480,000 | ¥4,192,100 | -2,287,900 | 64.69% |
2018年1月の段階で、この5524G-001は648万円という新品実勢価格でしたが、今の中古ボトム価格は約419万円という水準。この中古相場は、定価を下回る状態でありますが、今の新品実勢価格を見ても定価以下の水準となっている様子です。
2018年1月といえば、ノーチラスなどが目立って高くなっている時期ですが、そういった頃でもノーチラス5711/1A青文字盤よりはるかに高かったのがこの5524G-001であるわけです。
しかし、気づいたらこの5524G-001は大幅な値下がり状態。今では、ノーチラスより安いのはもちろん、アクアノート5164Aよりも安い水準。ノーチラスやアクアノートも2019年上半期と比べると値下がり状態ですが、それでも5524G-001より、随分高い価格帯に位置しています。
これは、いつの間にかキャラクターが変化したという感覚であり、意外な値動きと感じます。