機械式腕時計には、様々な時刻の表現方法がありますが、今の時代、最もポピュラーなのはセンターセコンド(3針)だといえ、逆に、それ以外はあまり見かけることがありません。
センターセコンド以外で、ポピュラーなのはスモールセコンドですが、クロノグラフを除くと、これもまたあまり見かけないといえるでしょう。
スモールセコンドといえば、パテックフィリップのカラトラバや、ジャガールクルトのレベルソなどがありますが、それらはマニュファクチュールという点が共通しています。
パネライもスモールセコンドが主流ですが、自動巻モデルの場合、クロノグラフ用のムーブメントからクロノグラフ機能を取り除くといった処置が取られているぐらい、スモールセコンドムーブメントはポピュラーだとはいえません。
本来、センターセコンドより単純といわれるスモールセコンドですら、そういった傾向があるわけですから、その他の時刻表現となると、ほぼ見かけないということになるのは仕方がないといえます。また、珍しい表現方法が用いられたモデルは、100万円以上といった水準の上級モデルに限られるという印象もあります。
けれども、このオメガ4853.61のように、安価で購入可能なレア時刻表現を採用する存在があるのです。
この4853.61が用いるのは、ジャンピングアワー。何時何分の「時」を小窓で、「分」を針で示しています。
ジャンピングアワーを採用するモデルは珍しく、見た目的にも、実際これを採用するモデルの価格帯も高いという印象がありますが、この4853.61は、今でも10万円台という水準で購入可能であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年7月 の安値(楽天) |
2020年1月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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オメガ
デビル (革ベルト) 4853.61 |
中古 | 2年 6ヶ月 |
¥138,000 | ¥134,400 | -3,600 | 97.39% |
この時計を前回取り上げたのは、2017年7月のことですが、現在相場も2017年7月の水準もあまり大きく変わっていません。
4853.61は、一時期中古売出しが0本になるなど、入手難易度が高くなるといったことがありましたが、今再び複数本が売りに出されており、その相場も2017年と変わらない様子です。
ジャンピングアワーといった機構の場合、その珍しさが魅力的である反面、ムーブメントの信頼性に疑問符が付くといったこともあるでしょう。そういったことから、高価格帯モデルへの採用が主という傾向があるのかもしれません。
しかし、この4853.61の定価は約30万円。決して高級品として売られていたわけではないのです。(同世代の上級モデル例として、ブロードアローの定価は58万円程度だった)
まして、信頼性について評判の高いオメガが、こういった機構のモデルを出しているわけですから、価格帯の意味でも、オメガが出したという点でも、なかなかレア感の強い存在だと思います。