ノーチラスといったスポーツモデルを除くとパテックフィリップのステンレスモデルのラインナップはかなり珍しく、数えるほどしか無いという印象もあります。
また、ステンレスモデルには、複雑機構が搭載されることはあまりなく、コンプリケーションノーチラスが登場する2005年より前の時代において、そのような存在は5085/1Aぐらいしかなかったといえます。
しかし、2014年に登場したこの5960/1Aは、スポーツ系でないにも関わらず、年次カレンダー&クロノグラフという内容のステンレスモデルであるのです。
このような意外性、及び、その搭載するメカニズムから、5960/1Aはデビュー以来、魅力的な上級パテックフィリップという印象があったように思います。
2015年時点での新品実勢価格(安い順の3社平均値)は約587万円という水準だったのですが、その頃、ノーチラス5711/1A青文字盤の中古相場は300万円前後という水準でした。
そういった意味では、5960/1Aは2015年当時、超憧れのステンレスパテックという印象があったともいえたかと思います。
しかし、そういったイメージは、ノーチラス人気が高くなるにつれ変わってきたともいえる状況。
2019年1月において、この5960/1Aの中古は516万円というボトム価格だったのですが、これは2015年の新品実勢価格より71万円ほど安いという水準です。
2015年⇒2019年という時期は、ノーチラスやスポーツロレックスなど人気モデルの多くが目立って上昇していたため、値下がりとなっていた5960/1Aは、人気があまりないのではないかと感じてしまうわけです。
そして、それから1年が経過した今、そういった印象はさらに強くなっているといえるわけですが、なぜなら5960/1Aはこの1年でさらに値下がりしているからなのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年1月 の安値(楽天) |
2020年1月 の安値(ヤフーショッピング) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
年次カレンダー クロノグラフ 5960/1A-001 |
中古 | 1年 0ヶ月 |
¥5,160,000 | ¥4,868,518 | -291,482 | 94.35% |
2019年1月において、5960/1Aは516万円という中古水準でしたが、2020年1月の今では、約486万円となっています。
これは1年で29万円ほどの下落となるわけですが、そういった下落額よりも、『500万円台⇒400万円』となったインパクトが強いと感じます。
2019年夏過ぎに多くの人気モデルは下落しましたが、そのような傾向となっても、2018年以上の価格帯をキープするモデルは多く、2019年1月との比較でも、2020年水準のほうが高いというモデルは珍しくありません。
そのような観点では、5960/1Aの値下がりは、他のモデルの下落より目立つと感じるわけです。
また、5960/1A-001はかつて、ノーチラス5711/1Aよりだいぶ高いという価格序列だったのが、今で5711/1A-011(白文字盤)よりも安いという状況です。
そういった意味で5960/1A-001は、「年次カレンダー&クロノグラフ」という複雑なメカニズムを有するモデルとして、お得感すら感じてしまうのが面白いといえます。