元祖雲上スポーツモデルであるロイヤルオークには、様々なバリエーションがありますが、バリエーションを増やしたのも元祖であるといえます。
1980年代にはすでに永久カレンダーモデルを展開していましたし、オフショアという「別ライン」も1993年に投入しています。
それに対してパテックフィリップは、最もバリエーションの投入が遅かったといえます。
ノーチラス初のコンプリケーションモデルは3712/1Aですが、それは2005年のデビューです。
ただ、それ以降、ノーチラスのバリエーションは一気に増え、2006年にはクロノグラフが投入されました。
このクロノグラフは、パテックフィリップが自社開発したムーブメントで、その仕掛けや見た目も一般的なクロノグラフとは異なります。
そのため、ノーチラスのクロノグラフは、デビュー時から通常のクロノグラフとは違ったキャラクターで扱われていたといえるのですが、それと対照的といえるのがロイヤルオークだといえるでしょう。
また、ヴァシュロンコンスタンタンも、98年にオーバーシーズにクロノグラフモデルを投入していますが、これもまた、ロイヤルオークと似たキャラクター性があるといえます。
雲上ブランドといえば、コンプリケーションの印象が強いですが、ノーチラスがコンプリケーションを積極投入する前の時代では、雲上スポーツは3針が基本という印象がありました。
それはロレックスも同様ですが、ロレックス的キャラクターである雲上スポーツのイメージとしてはマッチしていたといえます。
そういった意味では、ロイヤルオークとオーバーシーズのクロノグラフは、まさにデイトナ的キャラクターだといえます。
ただ、相場においては、近年も20年前もデイトナ以上という印象はなく、それは現在相場でも同様です。
この28560STは、2000年前後といった時代に現行だった世代ですが、当時現行デイトナだった116520と比較すると、新品実勢価格は安い水準でした。
3針に関しては、ロレックスより高い価格帯だったものの、クロノグラフとなるとロレックスのほうが雲上より高いという図式があったわけです。
ただ、28560STに関しては、2018年においてずいぶん変動し、8月には約222万円となっています。
28560STは2016年4月の段階で約149万円だったため、2018年にかけて53万円の値上がりを果たしたわけで、その上昇インパクトはかなり凄いと感じました。
2018年といえば、この28560STに限らず、数多くのロイヤルオークの上昇が目立っていた年ですが、そういった時期らしい動きだったといえます。
しかし、そんな28560STは2018年以降、特に目立った動きをすることがなく、2018年8月から1年半が経過した2020年2月現在でも、約213万円という水準に留まるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年8月 の安値(楽天) |
2020年2月 の安値(ヤフーショッピング) |
変動額 | 残価率 |
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オーデマピゲ
ロイヤルオーク クロノグラフ 25860ST.OO.1110ST.03 |
中古 | 1年 6ヶ月 |
¥2,225,000 | ¥2,138,800 | -86,200 | 96.13% |
2018年に目立った上昇となった28560STですが、2020年2月水準では2018年8月と比べて8万円ほどの下落となっている様子です。
なぜこの28560STは、2018年以降目立った値動きとなっていないのかというと、それは28560STという存在があまり認知されていないからかもしれません。
先のように、ロイヤルオークにはバリエーションが非常に多いため、モデルの全体像を把握するのは困難です。
また、28560STは一見すると近代的なモデルに見えますが、世代的には14790と同様。ノーチラスだと3800/1Aと同世代に該当します。
クラシカルなキャラクターともいえず、かといって新しくもない28560STは、今ちょうど目立たない時期となっているのでしょう。