2000年代前半のパネライには、様々なレアモデルがあり、そういったモデルは世界的にもファンが多く、値動きする傾向があるといえます。
中でもファンが多いといえるのは、当時の限定ラジオミールなどですが、それらはデットストックムーブメントを搭載するなど特殊な要素があるため、あまり市場にも出ず、価格帯も高いという傾向があります。
また、文字盤の発光塗料がトリチウムの44mm手巻きルミノールもかなり評価されています。
プレヴァンドームが高いのはもちろん、A番、B番の一部に存在するトリチウムの評価もなかなかの水準という傾向があります。
そして、90年代後半から2000年代前半のステンレスモデルとなると、100万円以下といった価格帯が増えてくるのですが、そのようなモデルでもこの5年といった単位でみるとなかなか評価されている存在があります。
特にそう感じるのが、青文字盤という要素。その代表格ともいえるのが69番でありますが、2000年代前半は他の文字盤より“安い”という価格序列だったのが、現在では他文字盤色よりとも目立って“高い”という状況。2016年まで40万円台前半という水準だったのが、2018年以降では50万円台となっているのです。
さて、このようにパネライには「評価されるポイント」がいくつかあるわけですが、中古市場で評価されるモデルにはそのような要素が備わっているという傾向があるわけです。
そういった意味では、このPAM00106には評価ポイントがいくつも存在。具体的には、
が挙げられます。
また、この記事の個体の文字盤下部には「T」と表記されているわけですが、これはまさにトリチウム文字盤だといえます。
つまり、この106番はパネライの常識からすると、評価されるポイントが満載だといえるわけです。
ですから、過去と比べてずいぶんな値上がりとなっていても不思議でないのですが、なんと現在の相場状況は値下がり傾向。
2018年5月水準と比べて、4万円程の下落となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年5月 の安値(楽天) |
2020年2月 の安値(ヤフーショッピング) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オフィチーネパネライ
サブマーシブル PAM00106 |
中古 | 1年 9ヶ月 |
¥577,800 | ¥528,400 | -49,400 | 91.45% |
この106番ですが、2018年5月の段階でも、「レア要素が多いのに相場が安いからお得」と表現しましたが、それから2年近くが経過した2020年現在でもそのような状況は変わっておらず、むしろよりそういった印象が顕著になっているとすら感じるわけです。
筆者が特に驚いたのは、2001年デビューのPAM00106がトリチウムであるという点ですが、その頃他のパネライはルミノバ化されていました。ちなみに、前回お伝えした記事の個体もトリチウムだったため、106番はトリチウムが多数派の可能性もあります。
また、“トリチウムのブレスレットモデル”という存在も特にレアなポイントです。50番でも初期の個体にトリチウムがありますが、44mmの手巻きルミノール同様、市場では評価される傾向があるといえます。
さらに、この106番は、生産年が2001年⇒2002年の1年間であるため、50番よりもレアだといえます。
サブマーシブルといえば、「ラバーベルト+黒文字盤」という印象がありますが、106番は「ブレスレット+青文字盤」。その意外性が面白く、なにかとレア感が強い存在であるのです。
にもかかわらず、評価されていないのは不思議といえ、なかなか興味深い1本だと感じます。