レベルソといえば、ジャガールクルトの代表的なモデルの1つですが、それだけでなく、高級腕時計全体における角型モデルの象徴的存在ともいえます。
そんなレベルソには、シンプルな手巻きモデルから、ミニッツリピーターのような複雑機構モデルまで、多彩なモデルがあるわけで、マニュファクチュールの強みを生かしたモデル展開となっていると感じます。
とはいえ、そのようなことは中古相場で“評価されづらい”といった現象も引き起こし、実際、腕時計ファン目線でも「どれがどのレベルソか分からない」という方も多いでしょう。
そのため、各モデルのキャラクターが把握しづらく、相場観も掴みづらいという傾向があります。
筆者としては、2000年前後といった時代に現行モデルだったレベルソに比較的明るいのですが、その時代のモデル展開は今に比べるとまだシンプルだったため把握しやすかったのです。
その時代のレベルソにも複雑機構モデル等はあったのですが、シンプルなモデルは、クラシック、ビッグ、デュオぐらいしかなかったといえ、それらのキャラクター全体像は分かりやすかったと感じます。
特にサイズ展開が、クラシックかビックの2つが主(男性用)といった感覚があり、その上位版であるデュオについてもGMTという目立った特徴があったため、区別しやすかったといえます。
また、そういった差は文字盤にも現れており、同じサイズでも、ビックだとギョーシェでないのに対し、デュオとなるとギョーシェ仕様となっているわけです。
さて、そんなレベルソデュオには、大きく3つの仕様があるわけですが、それらはSS、YG、PGという違いです。
厳密には、ストラップがブレスレットか革ベルトという違いや、限定モデル等もあるのですが、基本的には、通常版の革ベルトモデルを視野に入れると分かりやすいと思います。
相場的には、SS<YG<RGとなるのですが、特にRGが高いというのがデュオの傾向だといえます。
SSについては、1年前の2019年3月に上昇傾向となっており、それまで40万円台後半という水準だったのが、55万円程度にまで上昇していました。
レベルソデュオは、一見シンプルながらも、その独特な仕掛けとコンプリケーション的キャラクターが魅力的であるため、昨年の上昇傾向は「やっと評価された」と感じたところです。
しかしながら、それから1年が経過した2020年3月の今、この270.8.54はなんと10万円ほどの下落傾向となってしまっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年3月 の安値(楽天) |
2020年3月 の安値(楽天) |
変動額 | 残価率 |
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ジャガールクルト
レベルソデュオ 革ベルト 270.8.54 |
中古 | 1年 0ヶ月 |
¥558,000 | ¥449,900 | -108,100 | 80.63% |
この270.8.54は、時期によっては、他の個体より目立って安い個体が1つだけ出現するといったように、相場が掴みづらい傾向があったことがありますが、現在の様子はそうではありません。
なぜなら、ボトム価格が約44万円、次に安い個体が約45万円、その次が約47万円というようになっているからです。
ですから、この270.8.54は1年前と比べて10万円程度の値下がり状態だといえるわけです。
なお、現在水準ですが、これは2016年7月水準よりも安いため、この4年で最も安いといえる状況だといえます。
マニュファクチュールかつコンプリケーション的機構、及び文字盤をひっくり返すと他の時間帯が出現するといった粋な仕掛け。このような腕時計は他になく、なにかと人気要素がある時計だと思います。
しかし、今の水準は2016年夏頃より安い状況となっているため、検討する価値のある1本だといえるでしょう。