タグホイヤーが1996年に復刻したカレラは、当初限定モデルでしたが、人気となったために、その後レギュラー化されたという経緯があります。
カレラといえば、今ではタグホイヤーの中心的モデルですが、96年当時では異色な存在。この1964年復刻モデルは、オリジナルを忠実に再現したため、90年代の腕時計としてはかなりクラシカルな雰囲気を放っています。
そして、90年代タグホイヤーのラインナップは、SSブレスレットの防水腕時計がメインだったわけで、そのようなラインナップの中で、1964年復刻カレラはより異色な存在だったといえます。
またそれは、カレラがタグホイヤーの中心的存在になった今でも変わらないかもしれません。今ラインナップされているカレラは近代的な見た目ですが、それに対してこの1964年復刻モデルはクラシカル。やはり、今のカレラと比べても、はっきりとした違いを感じるといえます。
そういったことからすると、この復刻カレラはいつ評価されても不思議でないといえたのですが、2016年頃までは“評価されていない”といえた水準でした。
なぜなら、このCS3111は2016年9月の段階で約17万円という評価だったからです。
当時の17万円という水準は、カレラ全体としても安いほうに位置。つまり、近代的なモデルより評価されるどころか、最も安く買えるカレラという側面もあったわけなのです。
しかし、その後、この世代のカレラの評価は変化します。
2017年頃から徐々に高くなり、2018年にはCS3110やCS3113が30万円台という水準にまで上昇。ただ、銀文字盤のCS3110については、ここ最近30万円以下という水準になっており、値上がりは一時的かと思われました。
ただ、そういった個体は早い段階で売り切れとなり、やはり需要があるのだと感じます。ちなみに、それら価格帯のものはすべて売り切れたようで、今SSモデルで売り出されているのは黒文字盤のCS3111しかありません。
しかし、その黒文字盤のCS3111の水準はなんと40万円台という水準になっているのです。
CS3111の近頃の価格帯、及び、1964年復刻モデルの価格変遷を考慮すると、この40万円は「やっと評価された」という印象になります。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年9月 の安値(楽天) |
2020年3月 の安値(ヤフーショッピング) |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
タグホイヤー
カレラ CS3111 |
中古 | 3年 6ヶ月 |
¥170,640 | ¥400,000 | 229,360 | 234.41% |
前回、CS3111をお伝えしたのは、2016年9月ですが、その時代、1964年復刻モデルは文字盤色問わず、10万円台という相場でした。
そして、2020年の今ではこのCS3111はなんと40万円台という水準に変化。特に、前期黒文字盤が評価されている様子です。
なお、1964年カレラには、黒文字盤、銀文字盤、茶文字盤があります。
というラインナップであるため、銀文字盤より黒文字盤のほうがレアという印象があるのでしょう。
ちなみに、最もレアなのは茶文字盤(CS3112)ですが、数年に一度ぐらいの登場頻度であるため記事化できていません。
ただ、茶文字盤はレアであるものの、1964年には存在しなかった色だと思われます。(とはいっても、当時のタグホイヤーに積極的に採用されていた色なので面白みを感じる)
また黒文字盤についても、60年代の腕時計のイメージからして、1964年当時無かったのではと思われるかもしれません。しかし、実は1964年当時のモデルにも黒文字盤は存在しており、このCS3111の雰囲気は当時のオリジナルを忠実に再現しているのです。
そういった意味では、黒文字盤人気が高いというのも理解でき、1964年復刻カレラの中で最も高い評価となったことについても違和感がありません。