ヨットマスターにおけるコンビモデルとしては、十数年ぶりの新作として登場した116621。
コンビモデルの新作自体が珍しいといえますが、なぜヨットマスターにそういったものが登場したのかというと、おそらく前モデルの後継が無かったからだといえます。
ヨットマスターといえば、1992年に5桁世代の16628がデビューし、1999年にロレジウムが登場しています。そういったことから、コンビモデルも92年頃からあるのかと思うところですが、実はその導入は2004年であるのです。
厳密にいえば、ボーイズサイズは90年代後半に導入されていたのですが、メンズサイズ、つまり16623の登場は2004年になってから。5桁世代としても随分新しい存在であるのです。
そういったことからなのか、2012年にロレジウムが16622⇒116622というモデルチェンジをしても、コンビの16623に関しては生産終了とならなかったようなのです。
また、16623の後継モデルはないため、116623なるモデルは存在しません。
ですから、2016年にデビューしたこの116621は、新色として追加されたコンビモデルではなく、事実上の16623の後継モデルだといえます。
つまり、金素材が「YGからRGになった」ということなのですが、そのようなことは、パテックフィリップノーチラス、アクアノートでも起こっています。
116622の場合、特にプラチナ文字盤に関しては16622との差が分かりづらいところですが、この116621では、「RG&茶文字盤」というこれまでにない組み合わせが採用されているため、分かりやすく新モデルという印象があります。
そういったことから、この116621はデビュー以来、密かな人気といった存在感があったわけで、コンビモデルとしてはなかなか注目度の高い印象だったといえます。
それは、中古相場からも感じられたのですが、2018年2月の段階で、中古がデビュー年の新品実勢価格よりも高くなっているという現象が起きていました。
そして、116621は2019年のバーゼルで126621へと変更になったため、なんとデビューしてからわずか3年のタイミングで生産終了となったのです。
ただ、相場に対してはそのような影響はそれほど大きくなく、2018年よりも値上がりしたものの、2018年2月⇒2019年7月の値動きは10万円程度の上昇にとどまっていました。
とはいえ、その水準は140万円以上というボトム価格になったため、以前と比べるとやはり高くなったという印象だったともいえます。
さて、これまでそういった値動きをしていた116621ですが、ここにきてかつてとは異なる値動きとなっています。
現在、この時計は約126万円なのですが、なんとこれは2018年2月よりも安い水準であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年7月 の安値 |
2020年4月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
ヨットマスター 116621 |
中古 | 0年 9ヶ月 |
¥1,410,950 | ¥1,265,000 | -145,950 | 89.66% |
最近、多くの腕時計が値下がり傾向となっていますが、2018年上半期水準を下回るといったモデルはあまり多くありません。
116621の場合、これまでの値動きがあまり目立たなかったため、今回のように14万円程度といった下落幅でも2018年水準を下回ってしまうのは、ある意味仕方ないといえるかもしれません。
とはいえ、同じような値動き変遷だった他のモデルでも、2018年水準を下回るといった存在はあまり多くないのです。
そういった意味では、116621はかなり目立って安くなっているといえ、2016年デビュー⇒2019年生産終了という短期生産なレアモデルでありながら、なかなか魅力的な価格帯にいるように感じます。
ちなみに、2016年11月における新品実勢価格(安い順の3社平均値)は1,245,333円だったため、現在水準はかろうじて過去最安値には至っていない状況といえます。