2000年前後という時代に現行だったパシャ38mmクロノグラフ。
その頃といえば、まさに腕時計ブームだったわけですが、それまで一部の富裕層のためのモノだった腕時計を多くの人が楽しむようになった黎明期だといえます。
そして、その時期高級腕時計に興味を持った人々が、足を運んだ先で見たのは「ロレックス、オメガ、ブルガリ、カルティエ」といったラインナップだったわけです。
今のトレンドとは異なるといえますが、オメガが最も安く、カルティエがロレックスと同程度といったところ。カルティエは、「人とかぶるのが嫌だ」といった方々を中心に選ばれていたように感じます。
当時、そういった光景を見ていた筆者としても、カルティエは憧れといったところ。カルティエには、大きく2つの価格帯があったのですが、タンクフランセーズやパシャCが若い人向けといった感じで比較的安価。パシャ38mmはそれに対して高級といったイメージだったわけです。
中でもクロノグラフは最も高い水準で、2001年の新品実勢価格が約59万円。
ちなみに当時同じ価格帯に位置していたのは、以下のようなラインナップでした。
当時のロレックスSSスポーツモデルが約34万円(16710)~約45万円(14270)といった価格帯(デイトナを除く)だったため、50万円以上という新品実勢価格の水準は「高い」と思われたわけです。
ですから、パシャ38mmはかなりな高級品という印象がありました。
実際、搭載されているムーブメントはフレデリックピゲベースですし、定価も100万円前後といった水準だったことから、正真正銘の高級品だったわけです。
しかし、そんなパシャ38mmクロノグラフはここ数年において、もはやそのようなキャラクターではなくなっています。
2011年2月時点では約36万円だったわけですが、それは当時の16613青サブと同水準。それが、今や両者は比較対象といったキャラクターでないほど価格差が広がっています。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年4月 の安値 |
2020年4月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
カルティエ
パシャ38mm クロノグラフ W31030H3 |
中古 | 1年 0ヶ月 |
¥300,240 | ¥264,000 | -36,240 | 87.93% |
このW31030H3は2016年頃から、中古が30万円を切るといった様子を見せ、2017年には約24万円といった水準にまで下落しています。
2016年の段階では、フレデリックピゲ搭載最安値といったキャラクターはオメガのブロードアローが担っていたわけですが、2017年以降はこのパシャ38mmと最も安いフレデリックピゲだといえるでしょう。
そんなW31030H3ですが、2019年4月になると久々に30万円以上という中古相場に回復。
けれども、それから1年経った今、このW31030H3は約26万円という水準になっており、再び30万円を切ってしまっているのです。