タンクやパシャといえば、もともと重厚な印象があったといえますが、90年代後半に、そういったイメージを払拭するかのようなカジュアルなモデルが登場しています。
その1つが、まさにこのタンクフランセーズなのですが、若々しいモデルといった印象があり、2000年前後といった時代には、パシャCと同じようなキャラクターで多くの時計ファンに受け入れられていたように感じます。
ただ、パシャCと比べると、タンクフランセーズの男性用サイズはややマニアックだったといえ、2000年当時でも、パシャCほど売られている姿を目にすることはあまりありませんでした。
また、その実勢価格もパシャCよりも高く、少し上級なカルティエといった印象があったようにも思います。
そういったことは、文字盤からも感じるのですが、タンクフランセーズのLMサイズはギョーシェ仕様。これは、パシャだと「パシャC」には採用されておらず、上級モデルの「パシャ38mm」への採用となるわけです。
そういったことからか、中古相場もパシャCよりも高い傾向があります。
では現在タンクフランセーズのLMサイズはどういった水準なのかというと、約19万円。これは、2017年水準よりも3万円ほど安いのですが、それでも現在におけるパシャCの水準よりも高い印象です。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年5月 の安値 |
2020年5月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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カルティエ
タンクフランセーズ W51002Q3 |
中古 | 3年 0ヶ月 |
¥228,000 | ¥194,700 | -33,300 | 85.39% |
タンクフランセーズには、SM、MM、LMなど多くのサイズがありますが、今でもSMとMMは現行モデルとしてラインナップされています。
しかし、男性用LMサイズに関しては、すでに生産終了。そういったこともあってか、「タンクフランセーズといえば女性用」といった印象が強くなっているかもしれません。
カルティエの腕時計の特徴として、男性用として出されたモデルでも徐々に女性用といったイメージが強くなってしまうという傾向がありますが、このタンクフランセーズについても「レディース」といったイメージに飲み込まれているような気がします。
ただ、パシャCとは異なり、タンクフランセーズには「LM」というようにはっきりメンズだと分かる軌跡がありますから、女性用という印象は強くないともいえます。
とはいえ、タンクフランセーズ自体の印象が「女性用」という認知が強く、男性用モデルがあるということが認知されていない可能性もありますが、「実は男性用」という意外性こそ、このタンクフランセーズLMサイズの魅力といえるかもしれません。
それは、LMだけ自動巻ムーブメントを搭載しているという点からも感じます。
また、高級腕時計の場合、意外と「同じデザインで男性用と女性用をラインナップ」というモデルが少ないため、このタンクフランセーズはペアウォッチとして数少ない選択肢の1つだといえるでしょう。