有名人気モデルにおける「初代」という要素は、通常高い評価となる傾向がありますが、アクアノートに関してはそういった傾向は強くありませんでした。
アクアノートの初代といえば、1998年に登場した5065/1Aや5066/1Aという印象がありますが、実は本当の初代は1997年登場の5060A。
第一世代におけるアクアノートの人気要素といえば、
ということが挙げられますが、
この5060Aは、
ということに加え「裏スケ」でないのです。
そのため、これまで「それじゃない感」といった印象があったことが否めないわけで、5066Aよりも安いという立ち位置になっていたと感じます。
しかし、実はこのモデルには濃い要素が多々あるわけで、そのような要素が伝われば一気に評価される可能性もあったといえます。
5060Aの生産は、97年⇒98年の1年のみですし、ラインナップの雰囲気は98世代とは大きく異なるといえます。
また、その時代、パテックフィリップの日付フォントは明朝体だったわけで、アクアノートとして唯一明朝デイトを備える存在でもあるのです。
そのため、5060Aにあった不人気要素こそ、いまとなっては逆に面白いと感じるわけで、初代という歴史的重要さや1年しかラインナップされていないというレア感とともに、たまらない存在でもあるといえるわけです。
そういったことが評価されたのか、ついに2019年からこの5060Aの様子は変わっていきました。
これまで男性用機械式アクアノートの中で最も安い価格帯に位置した5060Aが、ついに5066/1Aの水準を上回ったのです。
2019年5月、11月といった時期において5066/1Aは約226万円という水準でしたが、5060Aは2019年6月の段階で233万円という水準となっていました。
そして、2019年8月には約257万円というボトム価格となったわけで、5066/1Aの水準を大きく上回ったのです。
5065/1Aよりも高い水準とはなっていなかったものの、やっと評価されつつある状況だといえたわけです。
しかしながら、そんな5060Aは今、新型コロナの影響なのか、なかなかの値下がりをしている様子。
現在のボトム価格は198万円という様子になっており、5066/1Aのボトム価格よりも安い価格帯に位置しているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年8月 の安値 |
2020年5月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
アクアノート 5060A |
中古 | 0年 9ヶ月 |
¥2,570,400 | ¥1,980,000 | -590,400 | 77.03% |
5060Aのボトム価格は198万円ですが、その次に位置する個体は220万円台です。
そのため、2番目の個体を例とすれば5066/1Aよりも高いのではないかと思われるところですが、そうではありません。
現在、5066/1Aのボトム価格はなんと約239万円という水準。それに対して、5060Aは最も高くても約236万円であるわけです。
つまり、5060Aはどの個体をもってしても、現在、5066/1Aのボトム価格にかなわない状況となっているため、2019年の「初代としての評価」を失ってしまったような感覚があります。