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腕時計特集

阿部泰治のパテック論 ~第5回目~

2020年6月3日更新

皆さんこんばんは。

全国的に緊急事態宣言も解除され、いかがお過ごしでしょうか。銀座の街は少し人が増えてきています。各施設等も~6月頭には順次開いていくとのことで、楽しみのような不安なような、難しい状況ではございますが、感染防止をしながら出来る事をコツコツやっていくしかないですね。私も時計店の店主として、少しでも楽しく、有益な情報をお伝えできるように努めて参ります。

パテックフィリップ 【アクアノート
さて、今回はアクアノートについて話をしたいと思います。アクアノートの初期モデルは、1997年に発表された「Ref.5060A」です。

現行モデルと比べると、小ぶりな35mmのミディアムケースは、スポーティーなイメージでありながら、装着するとロレックスとはまた違う上品な存在感を放っております。文字盤に施されたエンボス加工の彫りが深いのも特徴でした。また、このモデルはソリッドバックで、ムーブメントを見ることはできませんでした。「Ref.5060A」は発売から1年足らずで販売終了されたモデルでもあり、初代アクアノートという位置付けも相まって、今でこそ探すのが難しいモデルとなっています。まだアクアノートも昨今のような人気でなかった頃、70〜80万円くらいで付属品完備で売られていたのを覚えています。

わずか一年と短命で終わった「Ref.5060A」ですが、翌年1998年に登場したのが「Ref.5065A(/1A)」と「Ref.5066A(/1A)」です。ふたつのモデルの違いはケース径と搭載するムーブメントで、「Ref.5065A(/1A)」は38mm(ラージ)で若干大きく、「Cal.315 SC」を搭載してます。

*「Ref.5065/1A

一方、「Ref.5066」は「Ref.5060A」を引き継いだ35mm(ミディアム)で、「Ref.5060」と同じ「Cal.330 S C」を搭載してます。文字盤のエンボス加工がやや浅くなっており、全体的な印象は控えめになって、インデックスの視認性も向上しました。サファイアクリスタルバックの採用により、ムーブメントが見えるようになったのも大きな変更点です。

*「Ref.5066/1A

「Ref.5066」「Ref.5065」のラインナップですが、それぞれ通称トロピカルとも言われているコンポジット素材のバンドモデルと、ブレスレットモデルの2型が存在し、SS(ステンレス)とYG(イエローゴールド)のケースで用意がありました。

SSケースのモデルは1998年に発表され、YGケースのモデルはその翌年の1999年に追加されたと言われております。当店でも、SSケースモデル、YGケースモデルの販売実績がございますが、YGケースモデルは市場でも流通量が少なく、特に38mmケースでオリジナルのYGブレスレット仕様の「5065/1J」は、今ではなかなかお目にかかれず、付属品完備で時計の状態が良いものは入手しづらいモデルとなっております。

また、時をほぼ同じくして、ミディアムサイズのSSケースでQz(クォーツ)ムーブメントを搭載した「Ref.5064A」と、やや小ぶりなレディースモデル「Ref.4960A」の用意もありました。いずれもQzムーブメントとということもあり、ソリッドバックの仕様で、レディースモデルのみYGケース「Ref.4960J」も追加されました。

日本限定

1998年の「Ref.5066A」の発表と時を同じくして、日本市場向けに鮮やかな青文字盤と青色トロピカルバンドが印象的な「Ref.5066A-010」が日本市場向けに1000本限定で発表されました。現在では、中古市場でもあまり見かける事もなく、価格も高騰しております。

おまけ

最後に、あまり知られていないモデルではありますが、初代モデル「Ref.5060A」を、YGケースにし、シースルーバック、黒文字盤ローマンインデックス、夜光入りリーフバンドを採用した「Ref.5060SJ」というモデルがございます。

こちらは、ノーチラスの「Ref.3800/1A」を思わせる顔つきで、前述のアクアノートと比べると、スポーツモデルではありますが、ドレッシーさとエレガントな印象も醸し出してくれる面白いモデルです。

アクアノート 】と聞くと、どうしてもステンレス素材のイメージが強いですが、こういったモデルの存在を知ると、購入の幅も広がり、楽しんで時計を探すことが出来るのではないかと思います。

次回は、気になる”現行のモデル”をじっくりと話させていただきますね。

この記事の執筆者
阿部泰治
コミット銀座 店主 銀座著名店で長きに渡り高級腕時計を取り扱い、2016年1月、コミット銀座を創業。 ロレックスやパテック・フィリップをはじめとした希少品やコレクターズアイテムを多数扱う実績を持つ。 時計本来の価値、時価を判断し、委託手数料の業界最安値水準を確立。
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