近年、GMTマスターシリーズはかなりな人気度となっており、特に「青赤」という要素がこれまで以上に評価されていると感じます。
GMTマスターシリーズの人気上昇は、パテックフィリップのノーチラスと同じような加速度だと感じ、これまで特に人気があると感じなかったリファレンスも、いつのまにか人気となっている様子があります。
さて、そのような状況となると、評価されるのは「初代モデル」となるわけですが、GMTマスターの初代は長らく相場を掴むのが難しい状況だといえます。
1950年代に登場した初代GMTマスターの6542は、「凄いモデル」であることは確かなのですが、その相場が「いくらなのか」がかなり掴みづらいわけです。
これは、まさにミルガウスの1019と同じだといえます、1019よりもさらに玄人向けな印象が強いといえます。
6542の難しさとして大きいのは、修理明細書ありといった個体が少なく、メンテナンスも極めて難しいといったところがあるでしょう。
特に、その最大の特徴であるプラスティック製ベゼルは割れやすく、新品交換もできないため、扱いにはかなり注意を要します。
同じ1950年代製造の腕時計でも、カラトラバ等の場合、普段遣いしようと思えばできるのに対し、この6542はグランドコンプリケーション以上に気を使う存在だといえるでしょう。
実は筆者、2001年頃に6542をつけている方を電車の中で見かけ、「赤いデイト表示」という意外性に惚れ、ずっと欲しいと思い続けているのですが、なかなか手を出せていません。
6542は、時期によって相場にばらつきがあり、相場観を掴みづらい傾向があるのですが、現在はまだ分かりやすい様子となっているといえます。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年8月 の安値 |
2020年6月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
GMTマスター 6542 |
中古 | 3年 10ヶ月 |
¥3,780,000 | ¥4,569,600 | 789,600 | 120.89% |
現在、この6542は約456万円という水準なのですが、これは2016年8月と比べて約78万円の上昇といったところです。
6542の場合、相場を掴みづらい傾向があるため、この78万円という変動すべてを値動きとして捉えることは難しい側面もありますが、現在の価格ばらつきの少なさからして、それなりに参考になる値動きだと思います。
また、2016年から現在にかけてのGMTマスターシリーズの評価からすると、このような変動は自然だといえます。
例えば、GMTマスター最後のモデルである16700は2016年時点では60万円前後といった様子でしたが、今では100万円以上といった様子。
そのようなことを考慮すると、6542の現在の変動額はそれなりに参考になると思うのです。
筆者としてもこの6542というモデルをもっと取り上げたいのですが、なかなか相場をお伝えしづらいため、2016年から約4年ぶりの登場となってしまいました。