ワールドタイムといえば、今では珍しくない印象がありますが、実は2000年までは「幻の存在」だった経緯があります。
今では「コンプリケーション(いわゆるプチコン)」として扱われる傾向のあるワールドタイムですが、実はもともとグランドコンプリケーションだったといえます。とはいえ、ワールドタイムが存在したのが1950年代頃だったため、その時期「プチコン、グラコン」といった差は無かったといえるでしょう。
さて、ワールドタイムは現在では「幻の存在ではない」と述べましたが、実は今でも他とは異なる存在感という側面があるといえます。近頃のパテックフィリップでは、ノーチラスにも年次カレンダーが用意されるといったように、コンプリケーションについても多種多様なラインナップが存在する傾向があります。
けれども、ワールドタイムに関しては、そのような展開はなく、基本的に1世代に1つのモデルといった様子があるといえるでしょう。
そういった特別感は、「クロワゾネ文字盤」という存在からも感じられるのですが、パテックフィリップはワールドタイムを他のコンプリケーションよりも特別に位置づけているように感じます。
しかしながら、昨今の中古相場ではワールドタイムに対してそのような特別感は感じられません。
むしろ、あまり評価されていない印象すらあり、特に5110については値下がり傾向といった様子。2018年以降からそういった印象が強くなったのですが、今年もRGの値下がりをお伝えしました。
現在、5110ワールドタイムの水準は、5110Jが273万円、5110Gが286万円となっており、5110Rに関しては中古売出しがない様子です。
金素材の5110は2015年頃まで300万円以上という様子がありましたが、2016年に値下がりし、それ以降は300万円以下で購入可能となっています。
さて、そんな5110の中で最も特別感があるのがプラチナの5110Pですが、唯一青文字盤が採用されているというように、見た目的にもスペシャルな内容です。
プラチナのパテックフィリップといえば、腕時計ファンにとっては憧れの存在といったキャラクターですが、中でもワールドタイムのそれは、歴史的観点や青文字盤の特別さなどから憧れ感が強い1本だといえるかもしれません。
そんな5110Pですが、2019年の段階で「2016年から変化なし」という様子となっており、近年、あまり評価されていない傾向がありました。
では、それから1年半近くが経過した今、5110Pはどういった水準になっているかというと、なんと値下がりしているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年1月 の安値 |
2020年6月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
ワールドタイム 5110P-001 |
中古 | 1年 5ヶ月 |
¥3,780,000 | ¥3,500,000 | -280,000 | 92.59% |
2019年1月に378万円という水準だった5110Pですが、現在では350万円という様子。
なお、2016年6月水準も2019年1月と同様ですから、5110Pは4年前と比較しても28万円の値下がりということになります。
2016年6月といえば、ノーチラス5711/1A青文字盤が300万円前後という中古相場だった時代ですが、その頃ノーチラスよりはるかに高かった5110Pは、今ではノーチラスの半額ぐらいといった水準になってしまっているのです。