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『MASTER’Sコラム』時計鑑定士の真相

2020年6月19日更新

皆さんこんにちは。

先日ブルーインパルスが飛びましたね。私も思わず手を止め、銀座の上空を眺めました。綺麗だなと思いながらも、なんとも言えない感情、、、緊急事態宣言は解除されましたが、医療従事者の方々への感謝の念は引き続きしっかりと持ち、私共としましては『時計屋としての役割』を常に考え、一つでもお客様方の役に立てるよう努めなければと思います。

さて、今回は【時計鑑定士】について少しお話をさせて頂きます。これから高級時計の売買を検討されている方や、業界にて【時計鑑定士】になりたい!という方まで少しでも参考になれば幸いです。普段あまり知る事の出来ない真相もこっそりお伝え致しますので、是非最後までお楽しみください。

時計鑑定士とは

まず初めに【時計鑑定士】とは何を指すのか?

【時計鑑定士】=「ブランド物の腕時計の真贋を判定する資格を持つ人」

こんなイメージを皆さんはお持ちではないでしょうか。

結論から言いますと、【時計鑑定士】に資格は必要ありません。

お客様からしてみれば、「え?大丈夫なの?」と心配になり、これから業界を目指す方にとっては「朗報!」とも捉えられますね。では、その「心配」や「朗報」が実際はどうなのか。具体的に業務を見ていきたいと思います。

基本業務

基本業務としては
①買取=時計の仕入れ 
②販売=時計の販売
の2点です。

ものすごくシンプルですね。この①番が世間一般でいう、いわゆる ” 鑑定業務=真贋判定 ” です。ただ、この ①の 買取業務= ” 鑑定業務=真贋判定 ” が非常に奥深いものとなっています。少しわかりづらいので、当店のスタッフを例に説明していきます。

【鑑定業務=真贋判定】

COMMIT GINZA /エグゼクティブアドバイザー:金子 剛

◇~2019年:ブランド品買取販売店にて14年間の勤務

《 実務 》
・【 ブランド品の売買(接客含む) 】
・【 ブランド品の買取業務(フロー)勉強 】
・【 ブランド品の鑑定=真贋勉強 】

◇2019年~:コミット銀座(高級時計専門店)勤務

《 実務 》
・【 高級時計の売買(接客含む) 】
・【 高級時計(*特にヴィンテージ)の鑑定=真贋勉強+世界情勢を踏まえた相場観の勉強 】

一般買取販売店

売買業務=接客(大枠)は共通です。では ” 鑑定業務=真贋判定 ” について見ていきましょう。まずは一般買取販売店の ” 鑑定業務=真贋判定 ” について。こちらはブランド品やダイヤ・宝石・貴金属等にも言えますが、大手であればある程度の「 教材 」が用意されています。受験勉強でいう暗記問題とほぼ一緒のイメージです。そこにプラスして、雑誌やインターネット、また自ら同業社を周ってリサーチをしたり、実際に接客をしてもらい、トークや査定額を勉強します。

【一般買取販売店の鑑定=真贋”勉強】
・「教材」を使った暗記作業*大手に限る事が多い
・「雑誌」「インターネット」を使った勉強
・ 同業他社のリサーチ

専門店

続いて専門店の ” 鑑定業務=真贋判定 ” です。先程の金子の経歴のところにも書きましたが、基本的な勉強はもちろん必要ですので、一般的な買取販売店と同様の勉強をしつつ、ここにプラスして『ヴィンテージの鑑定・真贋』+『世界情勢を踏まえた相場観の勉強』が必要となります。

ここで真相を少し明かしていきます。

真相①
1つ目が、いわゆる一般店は主に ” 相場が決まったもの ” を主で扱っているということ。もう少しわかりやすく言うと、 ” 現行で販売されている商品 ” に近いものが多く取り扱われているということです。つまり、需要と供給がある程度見込めるものに対しては ” 相場 ” というのはほぼ決まっているということです。よく声を耳にするのは、一般店にヴィンテージを持ち込むと「〇週間お預かりさせていただきます」等を言われてしまう。それは真贋をその場で判断できないのが理由ですね。

真相②
2つ目が、ヴィンテージについてです。ヴィンテージの評価基準は①オリジナル性(パーツが替わっていないか?付属品があるか?等)②どれだけ綺麗な状態か?で相場が大きく変動します。ある程度詳しい方は周知の事かとも思いますが、ROLEXに至っては面白いことに、経年変化や劣化、または何らかのイレギュラーになったもの等に価値が付いたりすることがあります。

話を戻して、では『ヴィンテージの鑑定・真贋』+『世界情勢を踏まえた相場観の勉強』をどうやって勉強しているのか。どうやって相場を決めるのか。

結論からお伝えすると

◇見分けるには『どれだけ良い個体を見れるか、どれだけの数の個体を見れるか』
◇相場についてはほとんどのケースで『世界オークションの価格』が基準

で決まってきます。

価格を決めるには比較対象が無ければ「何をもって高いのか」「どうして安いのか」がわかりませんよね。では、供給が終わってしまった時計を見るにはどうしたらいいのか。良いものを見ようと思ったら、国内だけではどうしても限界があります。また、1日にヴィンテージ時計と触れ合えるのにも、やはり限界があります。そうするとより効率よく見ていくには「世界オークション」で実物を見るのが圧倒的に早いです。更にそこには各国の優良ディーラーが集まり、コレクションを持参していることもあります。そして「相場」も決まっていくのです。

まとめ

少し長くなりましたが、もちろん基本的な業務は大切です。金子は販売価格、買取価格を毎日数時間かけて約50社ほどホームページをチェックして、データを纏めるという事を10年以上行っております。しかも1日も休まずに。私も若干引いております。(笑)

また、店主の阿部は20年近く専門店にて『ヴィンテージの鑑定・真贋』+『世界情勢を踏まえた相場観の勉強』を繰り返しています。実際に世界的オークションへ数十回参加しております。

その結果として、現在は店舗に沢山の優良個体を所有するに至り、コミットでは自信をもってお客様にお見せできるような展示個体を数多く揃えております。

*今まで店舗でしか見られなかった個体たちですが先月CVWD(COMMIT VINTAGE WATCH DICTIONARY)というヴィンテージに特化したサイトを開設いたしました。是非興味がある方はご覧になってみてください。★CVWDはこちら⇒cvwd.jp

最後になりますが、当然ながらお客様は「自分の時計を高く売りたい」「良い時計を安く買いたい」という心理であると思います。それは何一つ間違いではありません。世の中にはびっくりする価格でヴィンテージを販売しているお店が沢山あります。購入する際には、いくらで買い戻せるか等を聞いてみるのも大切です。無いことを願いたいですが、もしもそんなお店と出会ってしまった時は、この記事を思い出していただき、少し嫌らしい質問をぶつけてみてください。(笑)

もちろん、私たちは時価に近い金額で販売している為、資産価値を下げずに買い戻しする事が可能です。些細な相談でもご遠慮なく、『 COMMIT GINZA 』にお問い合わせ頂ければ嬉しい限りです。

それっぽい事でごまかされないように、少しでも安心感をもって、そして楽しんで高級時計を売買してください。

Text by Takuro Koda

この記事の執筆者
金子剛
コミット銀座 鑑定士 (時計鑑定歴15年) 2020年よりエグゼクティブ・アドバイザー就任。 腕時計の知識、相場観には定評があり、特にヴィンテージロレックスのマニア気質が高い。 現在、ヴィンテージロレックスに特化したサイト、CVWD.JPを制作。
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