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腕時計特集

『MASTER’Sコラム』時計基礎知識

2020年7月7日更新

皆さんこんにちは。

もうすぐ6月も終わりますが、いかがお過ごしでしょうか。今年の夏は様々なイベントも中止となっており、旅行等にも気軽には行けそうにありませんね。こんな夏を迎えるのは、ほとんどの方が初めてではあると思いますが、人生の中の一年と考えれば意外と悪くもなかったり?時間がある分、新たな趣味へのチャレンジや、いままで出来なかった自己啓発に充てたりと、実は非常に良い面も多いのではないかなと感じます。

さて、そんな夏を迎えるにあたり、新たに高級時計を楽しみたいと思っている方々も多々いらっしゃると思います。今回はそんな時計初心者の方にむけた記事を書かせて頂こうかと。時計本体のパーツから、正規品と並行輸入品の違いまで、腕時計の【基礎知識】にフォーカスした内容でお送りしたいと思います。

各パーツ名称

まず初めに、時計の各パーツの名称を記していきます。今後出てくる話をより理解するためにも、しっかりと覚えておきましょう。

*左上から反時計回り
◆インデックス

ダイアル(文字盤・フェイス)上に記された時刻を表す数字や様々な印。

◆ケース

ムーブメントとダイヤル(文字盤・フェイス)を納めるものの総称。

◆ベゼル

ケースの一部とされ、ダイアル(文字盤・フェイス)や外側にあるプラスチックやガラスを固定する円状パーツ。ゴールドやダイヤ等の装飾品、タキメーター(時速などを測定するメモリ)が記されたものなど多種多様。

◆ラグ

バンドと本体をつなぐ部分。ケースの上下についていることが多い。

◆ストラップ

ベルトやブレスレットとも呼ばれる。(ブレスレットは主に金属性のものを指す)
*ラグから伸びたストラップを固定するための留め金をバックルという。

◆クロノグラフボタン

時間を計測したり、ストップウォッチ機能を行うボタン。
*主に上部のボタンが「スタート・ストップ」下部のボタンが「リセット」ボタンとされることが多い。

◆リューズ(竜頭)

時刻合わせに使うボタン。また、ゼンマイの巻き上げに使う部品。

◆ダイアル

文字盤、フェイス、などとも呼ばれ、時刻の表示板とされるもの。

*左上から反時計回り

◆12時間積算計

クロノグラフ機能での計測にて、12時間単位で経過時間を積算表示。

◆タキメーター

ダイアル外周やベゼルに細かく記されたメモリ。時速や平均速度などを測定する。

◆風防

ダイアルを保護するガラス。ヴィンテージ製品にはプラスチック素材もある。

◆スモールセコンド

60秒計。秒針として使われる事もある。

◆30分積算計

クロノグラフ機能での計測にて、30分単位で経過時間を積算表示。

◆ムーブメント

時計の心臓ともいわれるパーツ。基本的にケース内部にあり、直接見ることはできないが機械式とクォーツ(電池)式とがある。詳しくは次項で紹介。

【ムーブメント】手巻き・自動巻き・クォーツ

続いてムーブメント(時計の仕組み)について述べさせて頂きます。

ムーブメントはまさに腕時計の心臓部と呼ばれ、各社が一番注力しているポイントと言っても過言ではないでしょう。同モデルの新型が発表される時は必ずと言っていいほど、このムーブメントが改良され、技術の進歩が垣間見られます。

機械式とクォーツ式

機械式と呼ばれる時計には、「手巻き式」と「自動巻き式」の2種類がございます。

★手巻き式:リューズを巻くことにより、内部にあるゼンマイが巻き上げられ、さらにそのゼンマイがほどける力によって針が進む。手巻き式には「巻き止まり」というものがあり、それ以上リューズを回し続けるとゼンマイが切れてしまう為注意が必要。*ヴィンテージ時計に多い。(ただし、最新の手巻き式時計には巻き止まり超えによる、ゼンマイ切れを防ぐための仕様を備えたモデルもあります)

★自動巻き式:別名オートマティック(Automatic)とも呼ばれる。内部に半円形の錘(おもり*通称ローター)が組み込まれており、錘が回転することによってゼンマイを巻き上げる。腕を振ると自動的に錘が回転するため“自動巻き”と呼ばれる。

★クォーツ式:クオーツ式=電池式。単純に電池の動力によって時計を動かす。基本的には電池の寿命が切れたら電池を交換するだけでよく、着けるたびに時刻合わせは不必要とされる。

機械式とクォーツ式のメリット・デメリット

機械式
【メリット】
なんといっても何十年と長きにわたって使用できるという醍醐味でしょう。職人の手技によってひとつずつ作られた時計は“工芸品”と呼ぶにふさわしく、モデルによっては“芸術”と呼べるものまでございます。自分自身で巻き上げ、時刻を合わせればいつでも使用することができるのもポイントです。また、自分の人生の時間を共に刻んでいくことは、ある意味工業製品の枠を超えるものと言えるでしょう。
【デメリット】
まずはクォーツ式と比べると高価格帯となってしまうこと。また、その技法からも分かるように、精密に作られたパーツたちは、定期的に点検が必要となり、その維持コストによる出費はある程度覚悟が必要です。また、メリットでもありますが、しばらく着けていないと時計が止まってしまう為、巻き上げ作業と時刻合わせが面倒くさい方はクォーツ式が良いかもしれません。

クォーツ式
【メリット】
電池の動力によって動いている為、精度は機械式よりも高いものが多いです。また、機械式と比べると安価なものが多く、比較的購入のハードルが下がると思います。
【デメリット】
時計が止まってしまった場合は電池交換が必要となります。ケースを開ける作業が発生するため、基本的には修理業者への依頼が必要となります。

もう少し詳しい機能もありますが、それは次回以降お伝えします。

正規品と並行輸入品

最後に正規品と並行輸入品について少しお話いたします。

正規品と並行輸入品と聞くと、何故か正規品=本物、並行輸入品=偽物の様な捉え方をしてしまいそうになりますが、いかがでしょうか。高級腕時計を買うのであれば、信頼できる「正規店」で買いたい!そう思われる方は少なくないと思います。結論から話しますと、実はその捉え方は間違っております。仕入れの方法について触れながら、説明致します。

【 正規輸入 】
正規輸入とは、海外に所在している各メーカー(ROLEXやPATEK PHILLIPE)の本社と「代理店」契約している国内のお店に品物を卸し、そこから国内の小売店や販売店を通して“時計”を流通させることです。
【 並行輸入 】
並行輸入とは、海外の直営店や正規代理店に卸された品物を、独自に買い付けをし、国内で流通させることです。

上記のように、実はどちらも

「本物」です。

では何が違うのか?それを少し詳しく書いていきます。

正規品と並行輸入品の違い

正規品と並行輸入行の違いは何なのか?分かりやすく各メリットだけを列挙してみます。

【 正規品 】
・ギャランティ(保証書)の名前が本人の名前で受け取れる
・ブランドによっては受けられるサービスが異なる(もちろん正規店が最上級のサービス)
・必ず定価にて購入可能

【 並行輸入 】
・日本未発売の商品が買える
・為替によっては正規店より安く購入可能

簡潔に話すとこのくらいです。どちらのメリットが自分の価値観と合うか?純粋に考えれば自ずと答えは見えてくるかと思います。また、「 欲しい! 」と思ったときに手に入る手段であれば、どちらを選択しても問題はないのかなとも感じます。

もちろん、アフターケア等のサービスが気になる方も多いでしょう。しかし、そんな時こそ購入店に対して「アフターケアはどうなっていますか?」とストレートに聞くことをおススメします。

なぜなら、ちゃんとしたお店はそこに対して保証や修理を承ってくれる。

=(イコール)『信用できるお店』の証であるからです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は基礎中の基礎ではありましたが、高級時計入門編としてしっかりと覚えておきたい点でございます。

パーツの名称は専門用語の横文字が多い為、理解しておくと時計屋のスタッフともコミュニケーションがスムーズに取れます。また、正規・並行の違いは損せず買う為に必要な知識、且つ後悔しない買い物への近道でもあります。

「なんとなく」や「うっすら聞いたことある噂」等で判断すると、金額も大きい分、失敗した時の後悔も大きくなります。

『正しい知識』で『適正価格の売買』を皆さん楽しんでしてください。その為のアドバイスはいつでも致しますので、なにか気になる事があれば、お気軽にお問い合わせ・ご来店お待ちしております。

では。

Text by Takuro Koda

この記事の執筆者
金子剛
コミット銀座 鑑定士 (時計鑑定歴15年) 2020年よりエグゼクティブ・アドバイザー就任。 腕時計の知識、相場観には定評があり、特にヴィンテージロレックスのマニア気質が高い。 現在、ヴィンテージロレックスに特化したサイト、CVWD.JPを制作。
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