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腕時計特集

阿部泰治のパテック論 ~第17回~

2020年7月14日更新

みなさんこんばんは。

コロナウィルスや都知事選などのニュースが報道の多くを占めていますが、今回の豪雨による九州地方は非常に心配な状況ですね。出来る事は少ないですが、この度の大水害に際しまして謹んでお見舞い申し上げます。

さて、今回は” パーペチュアル・クロノグラフ ”の本当の最終回。その最終回に相応しい「Ref.5270」を取り上げたいと思います。初代から現行モデルまでをなるべく分かり易く書いていきますので、是非とも最後までお楽しみください。

「Ref.5270」

2011年に発表された「Ref.5270」

*Ref.5270G-001

大きな変更点はムーブメントで、今までのレマニアベース「CH 27-70 Q」から完全自社製の「CH 29-535 PS Q」が搭載になりました。文字盤の基本的なレイアウトは従来のモデルと変わらずですが、新たに昼夜表示と閏年サイクルを表示した2つの小窓が追加されました。

また視認性の向上が大きな理由と考えられますが、3時位置の30分積算針と9時位置の秒針を6時位置に若干下げたことで、カレンダーディスクが格段に大きくなっています。それにより時計としての実用性が高まったことは間違いないと思います。見た目については、従来のデザインを支持する声もあり、好みが分かれるところですね。

発表時から数年間は、ケース素材はWG(ホワイトゴールド)のみの用意でした。文字盤のデザインは初代、二代目、三代目に分けることが出来ますので次で詳しく述べていきます。

初代「Ref.5270G-001

*Ref5270G-001 参照:PHILLIPS

オパーリンシルバーの文字盤に、酸化ブラック仕上げの時・分針、インデックス。そしてダイヤル外周のレールウェイが特徴です。見た目はとてもシンプルなデザインで、3年間ほど製造されました。

二代目「Ref.5270G-013」「Ref.5270G-014

*Ref.5270G-013

まず大きな変更点はダイヤル外周がタキメーターとなったところです。細かいところにはなりますが、時・分針/インダイヤルの針/インデックスがシルバー色になり、3時・9時のインダイヤルのデザインが変更となりました。また、6時位置のカレンダーが膨らみ、タキメーターの外周表示の6時位値が下に膨らんだようなデザインとなっています。シルバー文字盤の他に、枝番が違う青文字盤も追加されました。

*Ref.5270G-014

二代目は、生産期間がわずか1年と短く、シルバー文字盤よりも青文字盤の「Ref.5270G-014」をよく見るように思います。【 パテックフィリップ 】の青文字盤と言えばノーチラスを連想される方が多いですが、こちらも非常に品があり魅力的ですね。

三代目「Ref.5270G-018」「Ref.5270G-019」「Ref.5270R-001

2015年に発表された三代目は、RG(ローズゴールド)ケース×シルバー文字盤が追加され登場しました。

*Ref.5270R-001 参照:A BLOG TO WATCH

文字盤外周のスケールが、初代と二代目を合わせたようなデザインになった三代目。全体的に内側に寄ったデザインや、インダイヤルの針(秒針・30分積算針、カレンダー表示針)がリーフ型からよりすっきりとした仕様に変更された点など、とても端正な顔つきとなりました。二代目で物議を醸した注目の箇所、6時位置のカレンダー部のスケールは、膨らまずに切れています。

2017年にWGケースの2モデルが生産終了となり、翌2018年に「Ref.5270」シリーズの大トリとして、満を持して「Ref.5270P-001」と「Ref.5270/1R-001」が発表されました。また、このタイミングで「Ref.5270R-001」の生産終了も発表されます。

「Ref.5270P-001」

*Ref.5270P-001

PT(プラチナ)ケースにサーモンピンクの文字盤、従来のバーインデックスではなく、10時から2時まではアラビアインデックスを使い、スペシャルな仕様となっております。完成度が非常に高く、非の打ち所のない1本であり、【 パテックフィリップ 】のこのモデルへの並々ならぬ思いが込められていると感じました。

「Ref.5270/1R-001」

*Ref.5270/1R-001 参照:Patek.com

RG(ローズゴールド)ケースに同素材のブレスレット仕様。同素材のブレスになるだけで、一気に煌びやかさと重厚さが増します。エボニーブラック・ソレイユ文字盤を採用し、RGに黒文字盤という最高にクールな組み合わせです。現行の商品として【 パテックフィリップ 】でも取り扱いはございますが、未だコミットでは実物を見れていないので、是非ともお持ちの方は自慢しにお持ちいただくだけでも結構ですので、ご来店頂けますと幸いです。(笑)

まとめ

4回に渡りお送りいたしました【 パテックフィリップ 】” パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ ”はいかがでしたでしょうか。かなりのボリューム感となりましたが、やはりどのモデルにもたくさんの魅力があり、私自身、書いていてどれもこれも欲しくなってしまい、心が落ち着きませんでした。(笑)

私が初めて「Ref.5270G-001」を見たとき、正直なところ、違和感がとてもあったのを覚えてます。ただ、今回「Ref.5270」を振り返り、最終モデルである「Ref.5270P-001」を見た時には、完成されていてとても魅力的、且つカッコいい時計であると再認識させられました。

” パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ ”は、誰しもが憧れ、いつかは手にしたいモデルであると思います。

皆さんに、少しでもこの魅力が伝わっていれば幸いです。では。

この記事の執筆者
阿部泰治
コミット銀座 店主 銀座著名店で長きに渡り高級腕時計を取り扱い、2016年1月、コミット銀座を創業。 ロレックスやパテック・フィリップをはじめとした希少品やコレクターズアイテムを多数扱う実績を持つ。 時計本来の価値、時価を判断し、委託手数料の業界最安値水準を確立。
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