2000年代前半頃まで、高級腕時計のK18にはYGが主に採用されており、WGはそれよりレア、RGはもっとレアという印象がありました。
そのため、YGという存在はプラチナ含めた高級素材の中で最もオーソドックスという印象があるわけですが、実はパネライにおいてはその文脈が通用しません。
なぜなら、パネライのYGモデルはかなり少ないからなのですが、ほぼラインナップされてこなかったといっても過言でないのです。
パネライといえば、高級素材の採用がそれほど多くない傾向もありますが、高級時代のラジオミールではWGやRGがそれなりに採用。プラチナもかなりレアではありますが、限定モデルなどに採用事例がそこそこあるのです。
それに対して、YGのラインナップはこのPAM00140ぐらいしかありません。一応他にも限定モデルがあるのですが、それらは140番のダイヤ文字盤仕様といったところ。通常モデルは140番ぐらいしかなく、限定モデル含めたYGのラインナップ数ですら、プラチナを下回るほどなのです。
ですから、パネライにおいてYGという要素はかなりなレア仕様であるわけです。
そんなレアYGパネライの140番ですが、もう一つ意外な要素があるといえます。
それは、デビューした時代の背景なのですが、この140番がデビューした2002年頃は、パネライにおいてルミノールとラジオミールの棲み分けがありました。
高級を担っていたのがラジオミールだったわけですから、イエローゴールドはラジオミールにラインナップされるというのが自然ともいえます。
しかし、イエローゴールドがラインナップされたのは、なんとルミノール。
その時、すでにラジオミールにはピンクゴールドのモデルがいくつかあったため、「ラジオミールとは違う文脈」ということを強調するためにも、ルミノールにイエローゴールドを採用したのだと思います。
実は当時のパネライにおいて、ルミノールの高級バージョンが全くなかったわけではありません。ただそれらは、ルミノールベースのダイヤ文字盤バージョンといったように、「ベースモデルを少し豪華にした」といった内容だったのです。
少し豪華にしたといっても、その相場はかなり高く、数の少なさ含めて孤高な存在。このYGルミノールは、それらと同じキャラクター性を持つモデルだといえます。
それは相場にも現れており、過去相場も現在相場も「K18のパネライ」というだけでは説明できないぐらい高いのです。
140番の現在水準は188万円ですが、同じK18でも、ラジオミールベースのPAM00231となると99万円で購入可能。つまり、この140番はダイヤ文字盤などと同様、評価されているパネライなのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年3月 の安値 |
2020年7月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オフィチーネパネライ
ルミノールマリーナ PAM00140 |
中古 | 2年 4ヶ月 |
¥1,715,000 | ¥1,880,000 | 165,000 | 109.62% |
この140番は2018年3月に約171万円という水準でしたが、今では188万円という水準。2年4ヶ月での値動きは約16万円の値上がりとなっています。
140番において重要なのは、こういった値動きというよりも、他のパネライと比べた価格序列だと思います。先の通り、140番はK18のパネライとしてはかなり評価されている序列に位置するといえるのです。
その評価の理由は、前頁の通りですが、改めて要約すると、
といったところでしょう。