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腕時計特集

『MASTER’Sコラム』時計販売店の”真相究明と考察”

2020年7月24日更新

Ⅰ.『キャンペーン』について

みなさんこんばんは。

高級時計の立ち位置はリーマンショック後から年々変わり、その資産性は高くなり続けドル建て定期預金のような属性を持ってきています。高級衣類、自動車等の消耗品としての属性とは違う位置付けになってきているではないかと感じます。

当店では購入後の買戻し率が6か月以内の短期買戻しを除くと、その比率は100%を超えております。お客様が購入された金額以上で買い取れているという実績がございます。「総数の平均値の実績」例えば定期預金や、ゴールド地金、株式、と同様といっても過言ではありません。

さて、今回はそんな価値を持つ高級時計の購入方法や販売店の選定の方法について考察していきます。題名に記した通り【 時計販売店の” 真相究明と考察 ” 】と、少しおおげさな書き方はしていますが、この題名の通り、真相に踏み込んだ事実からの考察と、分析した原理をわかりやすく解説したいと思います。

第一回目は『キャンペーン』について。各社、繁忙期や閑散期に多種多様な『キャンペーン』を実施していますが、ここに実は多くのカラクリが潜んでいます。この分析と考察は時計業界に限ってのことではないとも感じます。

この連載が、多くの購入者にとって的確なアドバイスとなることを願い、絶対に知って損はない情報とお約束致しますので、是非とも最後までお読みください。

【キャンペーン】とは?

『キャンペーン』といえば大きく4つの種類に分けられるかと思います。

❶値下げキャンペーン
⇒「〇〇%OFF」や「〇〇万円引きクーポン」等、商品の値下げ販売

❷還元キャンペーン
⇒買取り額「〇〇%UP」や「+○○万円キャッシュバック」

❸プレゼントキャンペーン
⇒「ご入会/ご購入/ご売却、、、で〇〇プレゼント」

➍分割お支払いキャンペーン
⇒分割手数料がゼロになる

上記4つに分けることが出来るかと思います。少し細かく書いていきます。

❶値下げキャンペーン

1つ目は最も実施されている機会が多い販売商品の割引かと思います。百貨店や商業施設などでもお馴染みの【SALE】の表現と近いですね。お客様の関心を得る王道の広告です。原理は簡単ですが、普段から薄利の利益率で販売している店は、値下げの余地はありません。

時計販売店において、値下げキャンペーンは日常的に行われていることであり、常にお客様の興味を訴求する行為となっている点も否定できません。時計代金の10%割引や数万円の値引、モデルによっては100万円以上値下がったりすることも稀ではありません。

もちろん、お客様にとっては「欲しいならば」お得な『キャンペーン』です。購入しようとした商品が、昨日よりも今日の方が安くなっていたならば「お得」でしかありません。しかしながら、本当にそれが最も安い購入方法なのでしょうか?もともとの値段がとても高かったのではないか?と考えるほうが現実的です。さらに、大幅に値下げされた金額よりも、それ以上に安く売られているケースがネット上で検索されることは、ごく当たり前にあります。

そして、目玉として割引される商品の種類の傾向としては、需要が少なく人気があまり無いモデルが対象になりやすく、正直リセールには向かない資産性の乏しいものが多いように思われます。また、長い期間売れない個体を出すことも多いです。

本当に「その時計が好き」で購入されるのであればお勧めします。先述したような値下げしても売りにくい時計というのは価値が高くなく、買取の際に非常に安くなる傾向が強いです。定価よりも実売価格が大きく下がる時計も、その下がった評価で買えばやはり損は最小限で済みます。

要点!

日常的なキャンペーンで値下げできるということは、そもそもの値下げ前の販売価格は高かったとも考えられます。キャンペーンを行っていないお店の販売金額の方が信頼性が高い。まずは、Google!で検索比較しましょう。10分の検索で数万円の違いが生まれます。

❷還元キャンペーン

2つ目は所謂「還元型」と言われる『キャンペーン』です。主に売れ行きが好調な個体で在庫が足りなくなったり、お客様注文が入っている(今は在庫が無いが、在庫があれば売れる)場合に実施している傾向が高いです。いずれにしても「還元」していることは間違いないので、お客様にとっては有益な『キャンペーン』と言えるでしょう。これはタイミングと運とも感じますが、値引き『キャンペーン』とは少し質が異なると考えられます。

余談ではありますが、既に購入希望のお客様からの予約注文が入っている場合は高く買い取ってもらえる事があります。その場合は即、売却することをお勧めいたします。

ただし、この「還元型」にも重要な注意点がございます。 このような「還元型」をしているということは、お店の【売値が高くなる】傾向が強いのです。買取り金額を上げていくと当然ながら仕入れコストが上がります。そうなると必然的に販売金額が上昇します。こういった『キャンペーン』を日常的に実施している店舗は「売値」の比較と確認が必須となります。売値も同じくGoogle!で検索比較してください。本当に10分で数万円の差が生まれます。

更に!!

この「還元型」の一番の難点は、「お得だ!」「チャンスだ!!」と、実はそうではないのに、お客様が錯覚してしまう点であります。

例)
Aさんが、本来買取価格80万円前後の時計を所持しているとします。そこで「買い取り額3万UPキャンペーン!!」のお店に期待して買取依頼に行くとしましょう。Aさんは高値で売れる期待をもってご来店されます。しかし、、、

===いざ査定スタート!!===

すると、、、「この状態ですと77万円ですね。でも安心してください!只今キャンペーン中なのでプラス3万円で80万円で買い取りますよ!!」

と、結局相場のまま!!(笑)

なんていうことも少なくないのです。

ですので、このような場合は必ず多店舗に査定にいき、一度比較することをお勧め致します。意外と『キャンペーン』実施店舗よりも高く買い取ってもらえた!というケースは、時計に詳しい方は何度も経験しています。

要点!

還元キャンペーンをしているという事は、お店の【買取・仕入れ価格が高くなる】傾向が強いです。要するに必然的に販売金額が上昇します。そして買取に関しては還元しているように見えるお店があります。まとめると、どちらのケースにおいても、Google!で検索をし、実際に複数店足を運んで必ず比較をしましょう!豆知識ですが、買取キャンペーンのクーポン券は、査定後に提出するとより効果的です。

❸プレゼントキャンペーン

3つ目は特段どんなお取引なのかは問わず、お店にとって何かしらのプラス要素をしてくれたらプレゼントしますという形で行われることが多い『キャンペーン』です。実際の目的としては、お客様のリストを取ることや、広告効果を狙っているプレゼント『キャンペーン』が多いと思われます。

基本的にお店側が広報事業の一環として行っているケースがほとんどですので、特段お客様にとってデメリットは少なく感じます。ただし、金額の大き過ぎるプレゼントなんて皆無だと思います。(笑)なのでそんな時は少し怪しんでもいいのかもしれません。

要点!

プレゼント系は、お得な場合がほとんどです(笑)

➍無金利キャンペーン

今となっては ” 分割金利ゼロキャンペーン ” 等もよくみかけますね。例えば、購入後に10回払いを毎月店舗に足を運び、お支払い(もしくは送金)する、所謂「ツケ」のような方法で購入するケースは、私が知る限りございません。確実に、アプラス、ジャックス、オリコというような金融会社を利用して、販売店との貸し借りはない状態で決済します。

金融会社がお金を貸す際に、金利がゼロということは絶対にありません。相場として、3~5%が一般的と言われているでしょう。お客様が負担するものでございますが、販売店がキャンペーンで代わりに負担するということです。これは裏を返すと、日頃から価格設定に大きな利益がのっていないと行えない『キャンペーン』といえます。

要点!

どのお店でも、この『キャンペーン』を行っているわけではありません。行うお店、行わないお店、いや、出来るお店、出来ないお店と言った方が適切です。そこには明確な差があります。『キャンペーン』を行える販売店の方が総じて販売金額は高くなります。ここでは、総合支払い金額を冷静に比較したらよいでしょう!

考察のまとめ

少し長くなりましたが、いかがでしたでしょうか。基本的に利益が出ないことを企業はしません。時計販売店(正規店や直営店ではない二次流通店)は自社製造販売ではなく仕入れが存在するため、大幅な値下げや買取額アップは普通出来ないのです。

それらは、あらかじめ余裕のある大きな利益率があれば『キャンペーン』を打ち出せるということでもあります。日常的なキャンペーンを行える販売店は、そもそも『キャンペーン』割引適応後の金額が実態であり、割引後の金額でも他店と比較したら高いことが多いということです。

ちなみに、絶対に『キャンペーン』をやらない販売店も多く存在します。そういったお店のほとんどが、毎度毎度、そのお店の規定値の利益率で、精一杯の金額を提示して向き合っていると思います。割引するような余裕と余地がないのです。販売価格を抑えて限界値を常に提示しているお店では値引き交渉がほとんど不可能ということです。

このような点もお店選びの指標になるのかもしれません。

当店は年に数回、お客様への還元『キャンペーン』は行います。すでにご存じである方も多いと思われますが、ロレックスエクスプローラーⅠが20万円台だったり、その金額で購入された方が帰り道に通りすがりのお店で売却したら100%儲かってしまうような、誰から見ても完全赤字の還元キャンペーンなどをしております。

高級時計は買い方と売り方だけしっかりとしていれば、定期預金並みに安定した資産になることが実証されております。冒頭でもお伝えいたしましたが、当店では1年以上保有されたお客様の買戻し率の平均が100%以上になっております。そして、満足度が高まり購入者の「リピーター、紹介者」の割合が80%という結果に示されているとも感じます。

高級時計の買い物は一生に一度の方も多いでしょう。そんな買い物で嫌な想いをする事は絶対にあってほしくないです。巷の「SALE」「キャンペーン」に惑わされずに、冷静に、割引後の価格を算出して、Google!で商品の比較をしていただくのがベストです。

※もちろん全てのケースに当てはまるわけではありません。

Text by Takuro Koda

この記事の執筆者
金子剛
コミット銀座 鑑定士 (時計鑑定歴15年) 2020年よりエグゼクティブ・アドバイザー就任。 腕時計の知識、相場観には定評があり、特にヴィンテージロレックスのマニア気質が高い。 現在、ヴィンテージロレックスに特化したサイト、CVWD.JPを制作。
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