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腕時計特集

阿部泰治のパテック論 ~第20回~

2020年8月4日更新

みなさんこんにちは。

先日、本当かどうかは定かではありませんが「ROLEX」が9月に新作発表をするという情報が海外の時計情報サイトで流れました。今年は100年以上続く「バーゼルワールド」が中止となり、ROLEXやパテックフィリップが不参加の表明をするなど、コロナウィルスが引き金となり時計業界にも新たな動きが続々と表れてきているなと、ひしひしと感じます。

さて、前回・前々回に引き続き、7月13日(月)に香港で開催されたオークションについて話していきますが、3回目となる今回は『Christie’s(クリスティーズ)』の時計オークションの結果に基づき【 パテックフィリップ 】の時計について書いていきます。通常のモデルよりもコレクション性が高い物、市場であまり見かけない物、話題性の高い物などを選んでお送りいたしますので、是非とも最後までお付き合いください。

*価格については、オークションの落札価格に手数料(25%)が入った金額となっております。
*日本円につきましては、オークション開催当日のレートを参照しております。
*画像は全て「Christie’s(クリスティーズ)」を参照させて頂いております。

Lot.2408 トノー ジャンピングアワー 18KRG


Ref.3969

落札結果⇒HKD 200,000(JPY 2,842,000)
1989年に【 パテックフィリップ 】創業150周年記念でRG(ローズゴールド)450本、PT(プラチナ)50本で限定発売されました。1920年代に【 パテックフィリップ 】にあったオリジナルのモデルにインスパイアされているとのことです。サイズ感や現状でのニーズもあると思いますが、一時期はもう少し高い相場感であった気がします。

Lot.2412 セレスティアル Platinum


Ref.6102P-001

落札結果⇒HKD 1,625,000(JPY 23,091,250 )

天空の動きを再現する星座表を搭載したセレスティアル。時計に星座表は必要なのか?という話にはなりますが、、、(笑)とても美しくコレクションピースの時計であると思います。現時点での国内定価から考えますと、落札の価格も比較的リーズナブルかと思います。

Lot.2422 10デイズ トゥールビヨン Platinum


Ref.5101P-001

落札結果⇒HKD 1,125,000(JPY 15,986,250)

2003年に発表され、トゥールビヨンと10日間のロング・パワーリザーブを搭載した10デイズ トゥールビヨン「Ref.5101P」 サイズ感も良く迫力のあるカッコいい時計です。生産終了前の国内定価が4000万円近かったことを考えると、リーズナルな落札価格だと思います。

Lot.2429 パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ 18KYG


Ref.3970E

落札結果⇒HKD 562,500(JPY 7,993,125)

パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ「Ref.3970」の第2世代にあたり、バトン型のインデックスにリーフ型の針が特徴の「Ref.3970E」 ケースはスクリューバック(ねじ込み式)のクローズドの裏蓋のみの仕様です。画像で見る限り、ラグも太くしっかりとしており非常に状態の良さが伺えます。付属品もしっかりついておりコレクションにもオススメの1本ですね。欲しい!(笑)

Lot.2431 パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ 18KYG


Ref.5970J-001

落札結果⇒HKD 1,000,000(JPY 14,210,000)

人気のパーペチュアルカレンダー・クロノグラフ「Ref.5970」の18KYG(イエローゴールド)ケース仕様。発売から生産終了までの期間が極めて短く、『5970』の中でも一番玉数が少ない素材では?と思うのがこちらの「Ref.5970J」です。良い意味で昔ながらの時計らしさを感じるのも「Ref.5970J」の特徴かと思います。

Lot.2432 パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ 18KRG


Ref.5270R-001

落札結果⇒HKD 750,000(JPY 10,657,500)

現行モデルのパーペチュアルカレンダー・クロノグラフ「Ref.5270」 2015年に発表された、RG(ローズゴールド)ケース×シルバー文字盤に革ベルトの仕様です。落札価格を見ると、こちらもリーズナルな落札価格と言えます。

Lot.2433 スプリットセコンド・クロノグラフ Platinum


Ref.5370P-001

落札結果⇒HKD 1,375,000(JPY 19,538,750)

2016年の新作で発表された ”スプリット・セコンドクロノグラフ” 41mmのPT(プラチナ)ケースにブラックエナメルの文字盤×ブレゲ数字のインデックスがなんともカッコいいモデルです。この落札価格は、”お買い得!”の一言です!!

Lot.2434 パーペチュアルカレンダー・クロノスプリット Platinum


Ref.5204P-001

落札結果⇒HKD 1,687,500(JPY 23,979,375)

パーペチュアルカレンダーにスプリットセコンドを搭載した現行モデル。PT(プラチナ)ケースに柔らかみのあるシルバー文字盤の組み合わせは【 パテックフィリップ 】らしい品の良さを感じますね。こちらは2012年に発表された「Ref.5204」の初代モデルで、既に生産が終了となっております。コミットでも販売の実績があるモデルです。このモデルも非常にリーズナルな落札価格だと思います。

Lot.2439 ノーチラス ミディアム S/S


Ref.5800/1A-001

落札結果⇒HKD 625,000(JPY 8,881,250)

ノーチラス生誕30周年の先行で、2005年に製造された「Ref.5800/1A」は、生産期間が短く本数も少ないため、現時点では当時予測をし得ないほどに価格が上がったモデルといえます。2ピースのケース構造に裏蓋がシースルー、リューズがねじ込み式ではないのが特徴です。なかなか出会う事の出来ないレアピースです。

Lot.2445 アクアノート アドバンスドリサーチ 18KWG


Ref.5650G-001

落札結果⇒HKD 1,875,000(JPY 26,643,750)

アクアノート誕生20周年記念として世界限定500本で発表された『アクアノート ・アドバンスドリサーチ』 18KWG(ホワイトゴールド)ケース×ブルーグラデーションの文字盤に、9時位置のオープンワークが何とも美しいトラベルタイム機構を備えた時計です。市場での販売価格も安定して高いですが、思っている以上の落札価格でした。

Lot.2449 アニュアルカレンダー アドバンスドリサーチ Platinum


Ref.5450P-001

落札結果⇒HKD 525,000(JPY 7,460,250)

2008年にアニュアルカレンダー・アドバンスドリサーチの最終モデルとして、PT(プラチナ)ケース×サーモン文字盤で限定300本で発表された「Ref.5450P」 コレクション性の高い時計ですので、未使用という状態も良かったと思います。【 パテックフィリップ 】のサーモン文字盤は何とも言えない雰囲気を醸し出してくれます。

Lot.2451 パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ 18KRG


Ref.5970R-001

落札結果⇒HKD 1,125,000(JPY 15,986,250)

人気のパーペチュアルカレンダー・クロノグラフ「Ref.5970」の18KRG(ローズゴールド)ケースに、やや温かみのあるシルバー文字盤の仕様。コレクション性の高い、オリジナルのファクトリーシールドの状態を考えると、こちらもリーズナルな落札価格だったと思います。

Lot.2454 ワールドタイム クロワゾネ 18KRG


Ref.5131R-001

落札結果⇒HKD 1,187,500(JPY 16,874,375)

コミット銀座でも過去にシールド品(ビニール未開封)と中古美品の販売をしているこちらのモデル。文字盤のクロワゾネが非常に綺麗で日本を確認することが出来、とても好きな時計です。今回は納品時に入っていたスリーブ状の外箱も未開封(*通称ダブルシールド)が高く評価された落札価格だと思います。

Lot.2490 パーペチュアルカレンダー・クロノグラフ 18KYG


Ref.2499

落札結果⇒HKD 2,750,000(JPY 39,077,500)

パーペチュアルカレンダー「Ref.1518」の後継機として1950年に発表され、1985年まで製造された「Ref.2499」の第三世代モデル。見た目がシンプルで「Ref.2499」の中では見かけることが多いモデルかと思いますが、人気も高く、毎回オークションでは安定した価格で落札されていますね。

Lot.2504 スカイムーン・トゥールビヨン Platinum


Ref.5002P-001

落札結果⇒HKD 9,665,000(JPY 137,339,650)

「Ref.5002」モデルは【 パテック フィリップ 】がこれまで製作した中でも最上級と言えるほどの複雑な腕時計で、最初のダブルフェイスの時計であります。時刻表示の他、北半球の天空星座図を表わし月の軌道も示します。ミニットリピーター、トゥールビヨン、パーペチュアルカレンダーをはじめとする、稀少で驚異的な複雑機構が満載です。軽率な言い方ではありますが、トッピング全部乗せ!みたいなあり得ない時計なんです。(笑) もちろん【 パテックフィリップ 】での年間生産数も僅か数本という話で、ほぼほぼオークションでしか見かけることのない時計です。さすが!!落札価格も日本円にして『1億円』を超えてくるのが当たり前なわけですね。香港時計オークションの大トリにふさわしい1本だと思います。

まとめ

3回に渡り、香港で開催された時計オークション【PHILLIPS(フィリップス)・Sotherby’s(サザビーズ)・Christie’s(クリスティーズ)】における【 パテックフィリップ 】にフォーカスした内容をお送りしてきましたがいかがでしたでしょうか。

コロナウイルスの影響もあり、時計業界の今後を左右するといっても過言ではない世界オークション。今回、落札価格から見えてきたものは、まさしく現状での市場相場・ニーズだと再認識いたしました。もちろん、お買い得な価格で落とされた時計もありましたが、全体的に見ると勢いを感じざる得ない結果だったと思います。

やはり大事なのは需要と供給です。廃盤となったモデルは基本的に二度と製造されません。ヴィンテージやアンティークと呼ばれる時計たちはそういった要素を含み、今後も非常に期待が持てると言えます。

そして、昨今の人気がすさまじい【 パテックフィリップ 】の『ノーチラス』のような、トレンドによって爆発的に人気と価格が上昇するモデルも存在します。

時計の魅力は底知れず。資産としても認められ、アクセサリーとしても楽しめる。工業製品のようで工業製品でない、本当に奥が深いものです。

少し長くなりましたが、今度は秋に開催されるであろうオークションについても書かせていただきたいと思います。秋まで楽しみにお待ちください。

この記事の執筆者
阿部泰治
コミット銀座 店主 銀座著名店で長きに渡り高級腕時計を取り扱い、2016年1月、コミット銀座を創業。 ロレックスやパテック・フィリップをはじめとした希少品やコレクターズアイテムを多数扱う実績を持つ。 時計本来の価値、時価を判断し、委託手数料の業界最安値水準を確立。
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