90年代後半から「高い価格帯の中古腕時計」というイメージがある1655ですが、ここ5年ぐらいの値動きは、かつての印象からすると意外と動かないといった感覚がありました。
しかし昨年、1655は大幅な値動きとなり、やっと“らしさ”を発揮したように感じられました。
そうなったのは、2019年7月のことですが、その時期といえば、まさに上昇トレンドといった状態。多くのロレックスが過去最高値といえる水準になっていたのです。
その際、1655は2018年12月水準に対して約67万円の上昇という様子を見せており、この値動きによって約210万円から278万円という水準に変化したわけです。
以前の記事でも指摘したように、2000年前後における1655の価格帯を考慮すると、今の時代の水準では300万円程度となっても何ら不思議でないため、2019年7月の動きはそれに近づいた印象があったといえます。
さて、そんな1655ですが、それから1年が経過した今、どういった水準になっているのでしょう。
その答えは、なんと値下がりという状態です。
2019年7月に278万円というボトム価格だった1655は、現在約245万円という状況。実に32万円ほどの下落となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年7月 の安値 |
2020年8月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
エクスプローラー2 1655 |
中古 | 1年 1ヶ月 |
¥2,780,000 | ¥2,458,000 | -322,000 | 88.42% |
2019年7月から現在までの間、2度の下落トレンドがあったため、1655の値下がりは仕方がないといった部分もあるかもしれません。
しかしながら、2020年6月頃から多くのモデルが回復。また7月頃には、2019年上半期並に回復したモデルも出てきており、今では過去最高値更新といった水準に達した存在もあるほどの状況です。
そういった意味では、今の様子は「値下がりトレンド」を脱したともいえるわけで、依然として下落傾向となっている1655に対して「仕方がない」といえない側面もあるわけです。
なお、4桁リファレンスについては1655に限らず、あまり上昇していないという印象があります。
ちなみに、先日お伝えした1016については、2016年水準との差が7万円程度となっており、随分お得感を感じる状態です。
ただ、この1655の場合、2016年7月水準は約144万円。現在水準と2016年との価格差は、値下がり傾向とはいえ、101万円程度もあるのです。
2019年上半期の上昇トレンドの際は、人気モデルの多くが値上がりしていた印象がありますが、現在のトレンドでは目立って上昇しているのは6桁世代を中心とした最近のモデルといった傾向があるといえます。
供給量の少なさという意味では、4桁のほうが高くなっても不思議でないと思うのですが、4桁特有の面倒さよりも、身近な6桁世代のほうが人気というのは、今の時代の特徴だと思います。
しかし、そういったトレンドは将来的に変わる可能性があるのも確かです。
例えばクルマの場合、ここ数年でポルシェ911は硬派な空冷世代が評価されるようになったという事例があります。それと同じように腕時計でも「6桁よりも不便だけど、よりマニアックな4桁がいい」といった評価がされても不思議でないと思うわけです。