2000年代中盤頃まで、パテックフィリップのスポーツ系にはコンプリケーションモデルがありませんでしたが、2005年にノーチラスに3712/1Aが登場して以降は、積極的にコンプリケーションが展開されるようになったといえます。
とはいえ、アクアノートに関してはその限りでなく、コンプリケーションが登場したのは2011年のことなのです。
その際デビューしたモデルこそ、この5164A-001でありますが、これはトラベルタイムが搭載されたアクアノートです。
それまで、アクアノートの人気要素は「ブレスレット」でしたが、この5164Aにはブレスレットモデルがありません。
しかしながら、5164Aは近年アクアノートで最も人気という存在感となっており、5167/1Aなどがあまり値動きしていなかった2017年においても、この5164Aはしっかり動いていたのです。
2017年といえば、ノーチラスが目立って動いていた時期ですが、その際、3針の5711/1A青文字盤がコンプリケーションの5712/1Aよりも高くなるという現象が発生しました。
その例をアクアノートに応用するならば、“5164Aよりも5167/1Aのほうが高くなる”となったはずですが、決してそうはならなかったのです。
そして、今やアクアノートにおける人気要素は「ラバーベルト」となっており、もやはブレスレットよりも高いという状況。かつてであれば考えられない価格序列ですが、まさに「時代が変わった」といえる変化だといえるでしょう。
この5164Aは、『ラバーベルト+ワールドタイム搭載』という内容ですが、これは今の時代を象徴する人気要素だといえます。
そういった意味では、アクアノートの動きを牽引する存在感ともいえるモデルでありますが、この1年における値動きは「激動」といえる様子でした。
まず5164Aは2019年7月に随分な値上がりとなったのですが、その際756万円という水準となったのです。2018年11月水準は、約429万円だったため、これは驚くほどの値上がりでした。まさに、2019年上半期らしい変動だったといえます。
けれども、その後は下落トレンドが発生。その結果、2019年10月には605万円、11月には約560万円へと値下がりし、今年5月には528万円となってしまったのです。
この1年の値動きといえば、『凄い上昇⇒下落トレンド⇒下落収束⇒回復⇒新型コロナで再度の下落⇒回復』といった変遷でしたが、5164Aの場合、2020年初頭の「回復」が見られませんでした。
その結果、2019年10月から2020年5月まで「ずっと値下がり」といった状況となり、一度も「回復」という様子を目にすることがなかったわけです。
しかし今、そんな5164Aは今、約1年ぶりに「値上がり」という変動となっています。ただこれは、「過去最高値」というわけではなく、5月水準に対して回復したということなのですが、そのボトム価格は現在約579万円という水準になっています。
5月水準は528万円でしたから、これは3ヶ月で約51万円の上昇ということになるわけです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年5月 の安値 |
2020年8月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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パテックフィリップ
アクアノート 5164A-001 |
中古 | 0年 3ヶ月 |
¥5,280,000 | ¥5,798,750 | 518,750 | 109.82% |
回復傾向となった5164Aですが、現在水準はどの時期に近いかというと、“2019年11月の約560万円”となります。
2019年11月水準は、下落傾向となっていた10月よりもさらに40万円ほどマイナスとなっていた時期ですから、回復といっても歴代2位といったような水準ではありません。
ただ、現在水準は2018年11月の約429万円と比べると150万円ほどの値上がり状態であるため、「2018年までの常識と比べると立派に上昇」となるわけです。
そういった意味では、比べる時期によって印象が大きく変わる傾向があるといえるのですが、今の状態は感覚的には“勢い”を感じます。
なぜなら、500万円台といった価格帯であるにも関わらず、記事準備中の短い間に複数本が売り切れとなった様子があるからなのですが、こういったことはある程度の勢いがないと起こらないと思うのです。