斉藤由貴生です。今年のロレックス新作が登場したことについて、その見解をお伝えしたいと思います。
2020年登場の新作モデル
今回3シリーズにおいて新作が登場しました。
サブマリーナ全般
「青サブ」以外は黒文字盤となる配色ルールに変更。これは5桁世代に原点回帰した印象です。また、サイズが41mmとなったのですが、1959年に登場した5512からサブマリーナはずっと40mmだったため、ケースサイズの拡大は約60年ぶりとなります。
今回(2020年9月)登場したサブマリーナ
=ノンデイト
=SSデイトの緑ベゼル、黒ベゼル
=SSxYGコンビの青、黒
=WG
=YGの青、黒
2010年前後のモデルチェンジでは、2008年に116619LBが出たのを皮切りに、2009年に116613LB他、2010年に116610LV他、2012年に114060といった流れでした。それが今回は、ノンデイト含めて一斉チェンジしています。なお、GMTマスター2ではYGのポジションがRGとなりましたが、サブマリーナはYGが継続。このことからも、126619LBを除くと全体的に5桁時代をそのまま新しくしたような印象です。
オイスターパーペチュアル全般
オイスターパーペチュアルもまた、サブマリーナ同様一斉モデルチェンジされました。
今回(2020年9月)登場したオイスターパーペチュアル
これらには、同じく今回初登場した新しいムーブメントが搭載。ムーブメント変更によって全てがモデルチェンジされたようですが、2018年登場のヨットマスターやシードゥエラーとは異なり、文字盤デザインや配色も変更。フルモデルチェンジという印象です。
ラバーベルトのスカイドゥエラー
今回(2020年9月)登場したスカイドゥエラー
ドレス系という印象のスカイドゥエラーに、スポーツ系御用達アイテムのオイスターフレックスブレスレット(ラバーベルト)仕様が登場。ラインナップはYGとRGで、WGは無い模様です。
2020年登場の新作ムーブメント
今回の新作から初搭載されたムーブメントとして以下の2つがあります。
新作の登場後に起こった現象
新作発表後の現象として以下の3点があるように感じました。
116610LVが高くなった
今回登場した新世代では、緑サブの文字盤が16610LV同様、黒文字盤へと回帰。そのため、『緑ベゼル+緑文字盤』の116610LVがはっきり「異なる」印象になったわけで、高くなったのだと推測できますが、これは特に驚くようなことではないでしょう。
マットな青文字盤が中古市場から消えた
「マットな青文字盤」とは、116613LB前期世代のサンレイではない文字盤のことですが、116613LB前期と116613GLBがこれに該当。今回のモデルチェンジでは、5桁世代に原点回帰といった印象があるため、6桁世代特有の「マットな青文字盤」がよりレアな印象となり中古市場で需要が増えた結果、売出しが0本となったのだと思います。
ダークロジウムに限らず114300が若干高くなった
今回のモデルチェンジによって、2015年に登場したばかりの114300が生産終了となった模様。114300の文字盤配色は、とても魅力的だと思っていましたが、新世代には引き継がれませんでした。これまで114300といえばダークロジウム一強という印象がありましたが、文字盤色問わず全体的に高くなっている印象。現時点で、60万円前後という感覚です。
斉藤由貴生の見解
モデルチェンジスパンが早くなっている
2015年デビューの114300が5年で生産終了となりましたが、これに限らず近年短い期間で生産終了となるモデルが増えている印象です。ただ、そういったモデルはムーブメント更新のタイミングで結果的に生産終了となるケースが多いように感じますが、114300のキャリバー3132は2010年デビューです。
ただ今回のオイスターパーペチュアルには、新しい3230が搭載。「31系から32系」となったわけですが、ムーブメントも含めモデルチェンジスパンが早まっている印象です。
オイスターパーペチュアルの事例から、今後も3132ムーブメントを搭載したエクスプローラーなどがモデルチェンジされると予測できますが、いずれにしても登場年は2010年であるため、これまでの事例よりも短いスパンでの変更だといえます。
世代をどうやって表現するかが難しい
今回の新作では、ラバーベルト装着という新しさが売りのスカイドゥエラーを除くと、全てがムーブメント更新というモデルチェンジになったわけですが、ムーブメントの変更は「世代の変化」ともいえるかと思います。
そうなると、これまで6桁世代と表現していた2004年頃から順次デビューした世代は、「見た目が“新”、中身は“5桁と同じ”」となるわけですが、これは80年代ヴィンテージと同じような世代という印象に後々なるのでしょうか?
新しいムーブメントが搭載された126世代は、「見た目は“若干変更”、中身は“新”」ですから、5桁世代に近い内容だといえます。
なお、4桁以降のこれまでの世代をおさらいすると以下のようになります。
=20年~25年
=10年未満
=20年ぐらい
=15年ぐらい?
6桁世代は2004年登場のデイトジャスト116233からだといえますが、今回の世代もまた、2016年に登場した126333からだといえるでしょう。
これらは同じ「6桁」ですが、114270と214270が異なるように、同じ「6桁リファレンス」でも世代が違うといえます。
114270は事実上の5桁世代ですが、214270は6桁世代。これをサブマリーナに置き換えると、16610LVが5桁、116610LVが6桁、今回登場した126610LVが新しい6桁世代となるわけです。
6桁世代でも、「116」世代と「126」世代を同じくくりにするのは違和感があるわけで、2017年から順次登場している新世代を「126世代」と呼ぶのが分かりやすいかと思います。
これまでの6桁世代は80年代ヴィンテージなのか?
「見た目の変更」と「ムーブメント変更」が世代を分ける観点となりますが、今のモデルチェンジは、80年代ヴィンテージから5桁に変わったときと同じだと感じます。
よって、これまでの6桁世代は結果的に80年代ヴィンテージのような世代と後に言われるようになる可能性もありますが、それにしては現行期間が15年程度と80年代ヴィンテージよりも長いわけです。
2017年から順次登場している世代を126世代とするならば、これが今後どのぐらいの期間ラインナップされるかが興味深いといえます。これまで現行だった6桁世代の15年程度という現行期間が126世代にも当てはまり、今後当たり前になるのであれば、116の6桁世代は80年代ヴィンテージとは違う印象になるでしょうし、今回登場した世代が20年ぐらいモデルチェンジしないのであれば、やはり過渡期な世代だったということになるのだと思います。