ノーチラス5711/1A青文字盤といえば、今の時代を代表する「憧れの1本」だといえ、入手困難な腕時計として知られています。
入手困難とはいえ、中古市場でお金を出せば手に入るわけですが、その相場は年々上昇。その時点での“割高相場”が、後になってみると「安かった」と感じられるほど年を追うごとに高くなっていったのです。
とはいえ、それはすでに1年前までのこととなってしまっています。
なぜなら、5711/1A青文字盤は2019年夏の下落トレンド以降、値下がりが続いているからです。
5711/1Aには5711/1A-001と5711/1A-010がありますが、相場的にはどちらもあまり大きく変わらないため、ここではまとめて青文字盤としますが、基本的に記事で追っているのは5711/1A-010のほうです。
5711/1A-010は、2017年春頃まで300万円前後という中古相場だったのですが、それ以降は派手に値上がり。2019年7月には858万円という中古水準となったのです。
しかし、その後は下落トレンドによって値下がり。2019年9月は782万円、11月は743万円、2020年2月では728万円へと下がり、4月には約698万円と700万円台を割る水準となったのです。
この動きを見ると分かりますが、2019年9月以降、「ずっと値下がりが続いている」状況です。
そして、その後も下落は止まらず、2020年6月には約665万円というボトム価格に転じ、ついにこの時「白文字盤よりも安い水準」となってしまいました。
2020年6月といえば、ロレックスなどはすでに回復傾向となっているモデルが目立っていた時期ですが、そのような中、5711/1A-010は依然値下がり傾向だったわけです。
さて、そんな5711/1A-010ですが、今ようやく回復傾向となっている様子があります。
現在、5711/1A-010のボトム価格は約710万円なのですが、これは2020年2月水準に一歩及ばずといった価格帯。6月からの上昇は45万円という規模ながら、2019年9月からの下落を考えるあまり「凄い」とは感じられない動きとなってしまうかもしれません。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年6月 の安値 |
2020年9月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
ノーチラス 5711/1A-010 |
中古 | 0年 3ヶ月 |
¥6,655,000 | ¥7,106,850 | 451,850 | 106.79% |
なお、現在白文字盤の5711/1A-011のボトム価格は約699万円。5711/1A-001含めた青文字盤水準はいずれも700万円台であるため、「かろうじて青文字盤のほうが高い」という状況には戻ったといえます。
とはいえ、その差はそこまで大きくなく、これまでの白対青文字盤の価格差を考えると、依然青文字盤が安いと感じられるかもしれません。
まして、青文字盤の現在水準は、先に述べたように、2019年9月以降の下落を考慮すると、そこまで回復していないといえる状況です。
とはいうものの、実は2019年8月より前の水準を見ると、現在相場はそれなりに回復したともいえます。
これまで記事で確認した過去最高値は、2019年7月の858万円ですが、同年5月水準は708万円だったのです。
つまり、5711/1A-010は、2019年9月以降ずっと下落したものの、その価格帯は2020年4月、6月を除くと、基本的に2019年5月水準以上であるのです。
ですから、5711/1A-010の現在相場は、2019年9月以降を見ると「ずっと値下がり」となっている一方、その多くの期間において、2019年5月水準を上回っているわけです。
そのようなことから、5711/1A青文字盤は「高いのか安いのか」が分かりづらい状況だといえます。