かつて、年次カレンダーのラインナップがほぼ単一だった時代、そのメインモデルといったポジションだった5035。
現在の年次カレンダーには多様なラインナップがありますが、そうなったのは2000年代中盤頃からだといえます。
それ以前は、今のワールドタイムのようなラインナップとなっており、「年次カレンダーといえば5035」という印象があったといえます。
実際、年次カレンダーは「発明」のような機構。ですから、出たての時期としては「年次カレンダー」が、“1つのシリーズ”というイメージとなっても不思議ではありません。
ですから、この5035という初代年次カレンダーは、それなりに認知されているモデルだと思うわけですが、そのようなイメージはすでに過去のことといえるかもしれません。
なぜなら、ここ5年ぐらいの間、5035はあまり話題になっている印象がなく、特に値動きするといった傾向もありません。
それどころか、2017年頃までは200万円以下といった水準も珍しくなく、年次カレンダーながら「お得」という要素があったのです。
そんな5035ですが、2017年と現在とではその様子が変わっているといえます。
それは、売り出されている個体数が減っているという点。2017年頃までは、常時何本か売っているという印象だったのが、今では売出し個体が0となっていることが珍しくありません。
また、5035にはWGの5035G、YGの3035J、RGの5035R、Ptの5035Pというラインナップがありますが、以前はPtを除くといずれもよく見かけるという感覚がありました。
それが今では、5035全体の中古が珍しくなってきており、出たとしてもYGのみ、WGのみといった傾向。実際、現在売りされている個体は5035Gのみとなっています。
売りだし数が減るという現象が起こる場合、値上がりの前兆といった傾向がありますが、実際ノーチラス5711/1A-011などは、売出し数が分かりやすく減った後に上昇した経緯があります。
では、5035Gは今、どういった価格帯になっているのでしょう。
その答えは、約238万円であるのですが、これは2017年10月水準とほぼ変わっていない価格であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
|
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年10月 の安値 |
2020年10月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
年次カレンダー 5035G |
中古 | 3年 0ヶ月 |
¥2,354,400 | ¥2,387,000 | 32,600 | 101.38% |
5035Gの2017年10月水準は、どういった値動きだったかというと、2016年12月水準に対して約41万円という値上がりでした。
それまで5035系統は、200万円以下という個体が目立っており、おおよそ200万円前後といった印象でしたが、2017年10月の値動きで230万円台へと回復したのです。
しかし、その後はあまり目立つ動きをすることなく、個体数が減った今においても、3年前とほぼ変わらないという状況。20年近く前といった時代、評価が高かった5035Gですが、今の様子をみると、かつての印象からすると驚くほど目立たないキャラクターになっていると思います。