スピードマスターには無数のラインナップがありますが、中でも有名な存在がムーンウォッチ。特に3570.50が知られているといえますが、これは96年頃にデビューしてから2014年頃まで現行だった世代です。
腕時計ブームといわれた90年代後半、独立時計師が注目された2000年代中盤、ロレックスと同じぐらいパテックフィリップ人気が高くなった2010年代。その重要な時期を「現行モデル」として見つめつづけた3570.50は、時計界の証人のような存在だといえるでしょう。
では、この3594.50はどんな存在かというと、まさに3570.50の亜種といったところ。3570.50をベースとして、初代モデル風の見た目としたモデルだといえます。
2000年前後といった時代、3594.50は3570.50とともに売られていたのですが、当時は「ファーストレプリカ」としてそれなりに知名度があったといえます。
今では復刻モデルは、通常ラインナップよりも価格帯が高いという傾向がありますが、この3594.50が現行だった時代はそういった傾向がなく、3570.50とほぼ同じ値段で売られていました。
しかしながら、ここ2年ぐらいの相場では、3594.50は3570.50よりも安いといった水準へと変化。通常、このようなモデルはレアとして評価され、少なくとも3570.50と同じ水準となるはずなのですが、不思議と3570.50よりも目立って安い水準に位置していたのです。
3570.50は、2018年8月に30万円台というボトム価格になったことを確認していますが、その変動が3594.50に影響を及ぼすことはありませんでした。
3594.50はここ2年ぐらいの間、25万円前後といった感覚があり、「最も安く購入可能な手巻きスピードマスター」という印象があったぐらいです。
このような現象は、興味深かったため、何度も記事で紹介したのですが、特に動くということもありませんでした。
それは今年5月にお伝えしたときも同様で、相変わらず3594.50は約26万円という額で購入可能だったのです。
そんな3594.50ですが、なぜか今、目立った上昇となっている様子があるのです。
5月に約26万円だったのが、現在では30万円というボトム価格。3570.50に遅れること2年、3594.50はついに30万円台という水準になったわけです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年5月 の安値 |
2020年9月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オメガ
スピードマスター 3594.50 |
中古 | 0年 4ヶ月 |
¥261,800 | ¥300,000 | 38,200 | 114.59% |
筆者としては、3570.50が30万円台になったときから、3594.50も30万円台になっても不思議でないと思っていましたが、まさかそうなるのが2年後とは思いませんでした。
通常の動きであれば、3570.50が変動してから遅くとも数ヶ月以内で動くというイメージだったわけですが、3594.50は長らく動かなかったわけです。そしてそれが、2020年9月というタイミングでいきなり30万円台になるというのは、「なぜ急に動いたのだろう」という感想になります。