ロレックスブームといわれたのは90年代後半のことですが、その当時、今でいう「緑サブ」のような存在感だったモデルがエクスプローラー14270です。
新品実勢価格は、定価を上回っていたのですが、当時そうなっていたのはこれとデイトナ16520ぐらいしかありませんでした。
当然、SSスポーツモデルの価格序列では、「デイトナの次に高い」というポジションとなっており、誰もが憧れる「高いスポーツモデル」という印象があったわけです。
筆者の記憶としては、1999年頃に某有名店で60万円台で売られている様子を見て「手が届かないほど高い」と思った記憶がありますが、プレミア価格という現象が真新しい時期において、定価34万円の腕時計が60万円というのは大変なことだったわけです。
60万円という価格は、当時大人気だった14270としてもかなり高いほうで、2001年1月の段階で、新品実勢価格は約46万円という程度にまで落ち着いていました。
14270は、2001年に114270へと変更されたのですが、これは事実上のマイナーチェンジといえます。114270になって以降も、「デイトナの次に高い」という序列は変わりませんでしたが、2005年頃からそのポジションが揺らぐようになっていきました。
そして、2007年の新品実勢価格では、SSスポーツモデルの中で「最も安い」というポジションへと変化。この時点で、エクスプローラーの人気度は落ち着いたといえます。
とはいえ、エクスプローラーは決して不人気になったというわけではなく、定価を基準とした本来の価格序列に戻ったともいえるわけです。
その後、エクスプローラーの価格序列における天変地位は起こっておらず、現在の相場でも、同じ世代のスポーツモデルと比べて最も安いというポジションとなっています。
一時の流行りものとして不人気になったわけではないものの、現在の「緑サブ」のようなポジションだった頃、定価よりも高い価格帯で買った人にとっては、「流行り物を高く買ってしまった」という感覚があるかもしれません。
実際14270は、2001年1月水準を基準としても、「後の中古相場が過去の新品実勢価格を超える」ということが、『起こり得ない』と感じられるほどだったため、そのような感想になっても仕方がない部分があるといえるでしょう。
しかし、現在水準を見ると14270はなんと約57万円というボトム価格。
依然として、スポーツロレックスの中で最も安価というポジションであるものの、スポーツモデル全体的な上昇に伴い、1999年の「超高い」と感じられた新品実勢価格に近いまでの中古相場となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年9月 の安値 |
2020年10月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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ロレックス
エクスプローラー 14270 |
中古 | 1年 1ヶ月 |
¥545,076 | ¥573,071 | 27,995 | 105.14% |
14270や114270を記事で書くたびに、「昔のイメージから、激しい変動をする印象があるため、記事で取り上げる頻度が高いだろうと思ったらそんなことはなかった」という趣旨のことを書いていますが、今回もまた同様であります。
前回、この14270のことを取り上げたのは2019年9月。取り上げるのは、実に1年ぶりであるのです。
2019年9月水準は約54万円でしたが、この50万円台中盤という価格帯は、中古水準としては過去最高値といえたでしょう。
そして、それから約1年後の今でも上昇し、その水準は約57万円にまで到達。再び中古最高値更新という様子となっているのです。