カルティエがサイズのバリエーションを展開する場合、SM、MM、LMといったラインナップとする傾向があります。
このようなサイズ展開は、サントスガルベ、タンクフランセーズやアメリカンなどで共通で、腕時計ブームといわれた2000年前後という時代、この例から漏れることはなかったといえます。
しかし、2000年代中盤から、パネライブームをきっかけとする時計の大型化トレンドが始まり、カルティエも大きなモデルを多々展開。
当時デビューしたモデルでは、
などがその筆頭ですが、いずれも90年代のLM基準からすると、考えられない大きさだったといえます。
それらは当時、全く新しい男性用モデルとしてデビューしたため、従来の「LM」とは異なる文脈といえますが、このサントスガルベのように、新たなサイズバリエーションとして登場した大きなモデルも存在します。
W20098D6は、従来のLMよりも一回り大きい「XL」という名称のサイズ。
従来のLMより更に大きいモデルとしてデビューしたため、将来的には「過去に流行ったやたら大きいモデル」という評価になる可能性もありました。
しかし、このサントスガルベ、XLといっても35mmという大きさに収まります。
ですから、大きすぎず小さすぎないという印象となり、今の時代、グッとくる1本といえるかもしれません。
なお、2018年にサントスガルベの新型がデビューしましたが、新しいモデルはベルトを脱着可としたことにより、ベゼル周りのデザインが往年のサントスと異なると感じられます。
新しいモデルが好きという方はいらっしゃるでしょうが、このXLは、往年のサントスの雰囲気を保ちつつ、近代化された「ちょうどよいバランス感」という魅力があるといえるでしょう。
このXLに対して、そういった印象を持つのは筆者だけではないようで、中古を見ていても、それなりに早い段階で売り切れたりする様子があるといえます。
値動き的にも人気があると感じられる側面があるわけで、今年の新型コロナによる緊急事態宣言時には、他の人気モデル同様値下がり傾向となっていたのです。
そして、今の様子もまた、他の人気モデル同様回復傾向。5月に40万円を割ったW20098D6は今、約41万円にまで回復しているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
|
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年5月 の安値 |
2020年10月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
カルティエ
サントスガルベ W20098D6 |
中古 | 0年 5ヶ月 |
¥378,000 | ¥418,400 | 40,400 | 110.69% |
このW20098D6が40万円台というボトム価格になったのを確認したのは2018年10月のことですが、それまでこのモデルは約32万円という水準でした。
40万円台となった際、もしかしたら一時的な現象なのかもしれないという懸念がありましたが、それから1年後でも同様の水準となっていたため、40万円台は分かりやすく定着していたといえます。
ちなみに、記事でお伝えした水準としては、2019年12月の42.8万円が最高値。2018年10月以降それほど目立った動きとなっていないようにも思いますが、緊急事態宣言時に値下がりし、そこから回復するなど、値動きがまったくないわけではありません。
サントスは一時期、このサントスガルベよりもサントス100のほうが人気という傾向がありましたが、今では再びサントスガルベ推しに戻っていると感じます。
そして、80年代モデルなど、サントスガルベのクラシック世代もじわじわと注目度が高くなっていると感じられる今、XLという存在は「往年のサントス最終形態」として興味深い存在感になっていると思うのです。