GMTマスター2は、スポーツ系としていち早く6桁世代に移行しましたが、その際採用されたのが「セラミックベゼル」であります。
セラミックベゼルを採用したことにより、従来のように「色分け」をするのが難しくなったため、6桁世代になったGMTマスター2には当初「黒ベゼル」のみが採用されています。
2005年にYGがモデルチェンジを受けた際、そういったことはあまり大きな話題とならなかった反面、2007年にSSが6桁世代へ以降した際には、「青赤ベゼル」というアイコン的なカラーが消えたため大きな話題となったわけです。
2007年までGMTマスター2において「青赤」はどちらかというと“不人気”といったキャラクターでしたが、このモデルチェンジによって一気に“人気な要素”へと変化を遂げたといえます。
そしてその後、6桁世代における「青赤の復活」が待ち望まれたわけですが、長い時間が経ってもなかなか「青赤」のGMTマスター2は登場しませんでした。
カラーベゼルが復活したのは、2007年の生産終了から6年後の2013年になってからのことだったのですが、その際登場したモデルこそ、有名な116710BLNRであります。
116710BLNRは登場するや否や大人気モデルとなったものの、それに採用されていたのは「黒青」。その時点でも「青赤」の復活はなかったのです。
そして、その翌年、2014年にやっと「青赤」が復活したのですが、その際登場したのはなんとWGモデル。GMTマスター2初のWGモデルという衝撃とともに、「青赤」というアイコンが高級要素となったのは衝撃的だったといえます。
しかしながら、その強いキャラクターとは裏腹に、これまでにおける116719BLROの“中古評価”はそこまで“凄い”というわけではありません。
この場合の“凄さ”とは、値動きの激しさを指しますが、値上がり、値下がりどちらにおいても他のGMTマスター2ほどのドラマがないといえます。
116719BLROがこれまで最も値上がりしたと感じられるのが、2019年夏過ぎといった時代だったのですが、当時といえば下落トレンド真っ只中。そんな時期において、この116719BLROは「数ヶ月で数十万円」という値上がりとなっていました。そして、それ以外の時期はそれと比べてあまり値動きしていないのです。
2019年夏頃まで、この116719BLROは長らく300万円台という水準だったのですが、2019年11月には407万円というボトム価格に達しています。
その値動きに影響を与えたのは、この116719BLRO自体の生産終了だと思いますが、特に激しい値上がりとなったのが、2018年に登場した青文字盤でした。
116719BLROの青文字盤は結果的に1年でモデルチェンジされてしまったため、分かりやすく値上がりしたわけですが、黒文字盤の上昇はその影響に伴うものだと感じられました。
さて、そのような出来事から1年が経過したわけですが、この116719BLROの現在水準はどうなっているのでしょう。
ここ数ヶ月といえば、K18ブレスレットモデルの目立った上昇というトレンドがありますが、まさにこの116719BLROもそのような条件に合致します。
そのため、現在水準は凄い状況になってそうだと期待してしまうわけですが、いざ見てみると、なんと値下がりしているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年11月 の安値 |
2020年11月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
GMTマスター2 黒文字盤 116719BLRO |
中古 | 1年 0ヶ月 |
¥4,070,000 | ¥3,895,000 | -175,000 | 95.70% |
2019年11月に407万円という水準に達した116719BLROは、2020年11月の今、なんと約389万円という水準に下落しているわけですが、K18の上昇だったり、GMTマスター2人気というトレンドがある中でこのような値動きとなっているのは不思議な現象だといえます。
また今回の動きによって、400万円を割ってしまったわけですが、400万円台に達した時の状況は全体的な下落トレンド。つまり「向かい風」だったのです。
それに対して、現在の様子は、K18が高くなっているということに加え、2019年のピーク水準を超えるロレックスが多々あるなど「追い風」という状況です。
ですから、この116719BLROは他の人気ロレックスとは真逆の値動きをする傾向があるといえ、どっちに向かうか分かりづらい存在だと思います。