今年といえば、新型コロナという出来事のインパクトが強いわけですが、実際新型コロナは腕時計にも大きな影響を及ぼしたといえます。
それには大きく2つの事柄があるわけですが、1つが値動きへの影響、もう1つが新作発表が例年通りではなくなったという点でしょう。
これまで、腕時計の新作発表は、3月のバーゼル、もしくはSIHHというようにその年の春頃のイベントで行われてきたわけですが、今年は新作コロナの影響によってイベントは中止。その結果、多くのブランドは新作発表を伸ばすこととなりました。
そして、その発表時期はバラバラとなったわけで、本来であれば「大きなニュース」となるはずなのに、あまり認知されていないということが起こっているようにも感じるわけです。
筆者として「大ニュース」だと感じるのが、カルティエ「パシャ」の復活と、ブルガリ「アルミニウム」の復活なのですが、いずれも思ったほど知られていないように思います。
本来であれば、それらは同じような時期に発表され、「90年代リバイバル」といった注目のされ方となっても不思議ではありません。
まして、3月に登場する予定だった、新型サブマリーナも5桁世代への原点回帰といえるわけで、それらとまとめて、「今年は90年代回帰がトレンド」といった認知のされ方をされるはずだったといえます。
ちなみに、90年代への回帰という出来事は、腕時計に限らずファッションでも流行っていると感じられます。
若い女性の流行アイテムが「ルイヴィトンの鞄とロングブーツ」となっている様子がありますが、これらアイテムは90年代後半に定番でした。しかし、ここ10年ほど「注目されていなかった」ともいえるわけで、やはりリバイバルだといえるわけです。
筆者個人の感想ですが、パシャやアルミニウムなど、90年代後半のデザインは「完成されている」と感じます。
2000年代中盤頃からは、「それ以上の付加価値」を提供するために、やや奇をてらった方向にいったと思うわけで、今年の「90年代リバイバル」というトレンドは個人的に歓迎しています。
そして90年代への評価はそれなりに高いと感じるわけですが、なぜかというと近頃パシャCが目立って上昇しているからです。
この上昇の理由は、新型パシャが出た影響だと思いますが、90年代後半ぐらいからのパシャCが評価されるというのはよくわかります。
では、ブルガリのアルミニウムはどうかというと、こちらもそれなりに上昇している様子があります。
アルミニウムは1998年に登場したのですが、その際登場したオリジナルはAL38A。その後、型番はAL38TAとなりましたが、前期の見た目はほぼ同じです。AL38AとTAの差は、裏蓋のビスがあるか否かですが、どちらも見た目は変わりません。
2002年頃に登場したAL38TAの後期から、発光塗料がつくようになったのですが、ここまでが原形をとどめているといえます。
その後は、90年代モデルとは異なる印象へと変化していったのですが、その後アルミニウムはシリーズ廃止となっています。
そして今年復活したわけですが、今回登場したモデルはケースサイズはやや拡大されたものの、そのデザインバランスはまさにオリジナルを踏襲しているといえるのです。
ですから、アルミニウムもパシャ同様、元ネタと思われる90年代モデルの評価が高まって不思議でない状況であるのですが、現在その様子を把握するのはパシャよりも難しいといえます。
なぜなら、アルミニウムはその構造から、程度が悪くなりやすいため、他の高級腕時計でいう「ABランク以上」という個体があまりないのです。
そして、現在そういった程度の個体は1本程度といった状況であるため、かなり数が少ない様子。
では、その水準はどうかというと、約6.6万円なのですが、これは2015年水準よりも2万円ほど高くなっているといえます。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2015年8月 の安値 |
2020年11月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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ブルガリ
アルミニウム (前期) AL38TA |
中古 | 5年 3ヶ月 |
¥45,360 | ¥66,620 | 21,260 | 146.87% |
ただし、この値動きをどのように評価するかはパシャCよりも難しい側面があります。
なぜなら、アルミニウムの程度がそれなりに良い個体の相場は、新作発表以前から上がっている様子があったからです。
つまり、アルミニウムは以前よりも値上がりしていることは確かですが、その値動きが新作発表によるものなのか否かは分からりづらいと側面があるといえるのです。