2000年に5110として復活を遂げたワールドタイム。
5110登場以降、ワールドタイムは途切れることなくコンプリケーションモデルとしてラインナップされ続けているため、今では「レア」という印象がないかもしれません。
しかしながら、5110登場前の時代においての「ワールドタイム」は幻のパテックフィリップという印象。
1950年代などに少量生産された個体などがあるという程度で、常に作られていたわけではなかったのです。
ちなみに、かつてワールドタイムが腕時計として史上最高値をつけたことがニュースとなりました。
そういった時代において、現行モデルだった5110は、なにかと注目度の高い1本だったわけです。
まして、最も高級なPtモデルの5110Pには、青文字盤という専用文字盤が用意されていたわけで、「憧れ腕時計の最高峰」といったところだったといえます。
けれども、そんな5110Pは、今のトレンドにおいて、そこまで高い注目度となっていない様子があります。
というのも、この5年ぐらいの相場を見ると、2016年から4年にわたって「ほぼ変わっていない」状況だったからです。
5110Pは、2016年6月に378万円という水準でしたが、2019年1月でも378万円というボトム価格。全く同じ価格だったわけです。
そして、2020年6月にはボトム価格が350万円へと変化。2016年から4年ぶりに値動きしたかと思ったら、その動きは「28万円の値下がり」という結果となってしまったのです。
しかし、5110Pは今、6月とは真反対な動きになっている様子があります。
現在、5110Pは396万円という水準に変化。これは6月水準よりも46万円高いわけですが、この事によって、ようやく2016年6月水準を上回ったわけです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年6月 の安値 |
2020年12月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
ワールドタイム 5110P-001 |
中古 | 0年 6ヶ月 |
¥3,500,000 | ¥3,960,000 | 460,000 | 113.14% |
以前にもお伝えしたように、2016年と2019年では、多くの腕時計の相場が違うわけで、値上がりした結果、2016年水準を見ると「驚くほど安い」という感覚になるモデルが珍しくありません。
この5110Pは、2016年6月まではそれなりに動いていたわけで、2016年時点において、それ以前の水準を見ると「安い」と感じられました。ですから、「2019年の段階でも、2016年水準が安かった」と感じても不思議でない存在だといえます。
それが、5110Pは、2016年水準と2019年水準が全く変わっていなかったわけですから、それまでのキャラクター性を考慮すると「かなり意外な相場」だったといえます。
実際、2016年の段階ではノーチラス5711/1Aよりも遥かに高かったわけですが、値動きしなかった結果、5711/1Aよりも“安い”のはもちろん、3800/1Aよりも安いという価格序列になってしまったわけです。
なお、今回5110Pは、やっと2016年水準を超えたという様子ですが、現在水準は価格序列的には、ノーチラス3800/1Aと同等といったところです。