オーバーシーズという腕時計は、現在ではノーチラスやロイヤルオークのライバルという印象ですが、1996年にデビューした初代の時期は「アクアノートのライバル」というイメージだったといえます。
その大きな理由こそ、登場した時代が90年代後半という点なのですが、2000年前後という時代において、オーバーシーズとアクアノートは「出たばかりの新しいシリーズ」だったわけです。
そして、それら2つのモデルに共通するのは、基本がステンレスでコンビがないという点。また、オールK18のYGモデルがあったものの、「高価かつあまり売られていることを見かけない」という印象で、ほぼステンレスだけのモデルというイメージでした。
ちなみに、これらに遅れて2001年に登場したピアジェのアップストリームも同じような構成となっており、SSとYGというラインナップ。
このような”ほぼステンレス”というモデルの場合、YGはレアとなるわけですが、その「レア」が意味するのは、「希少価値が高い」というよりも、「単に数が少ないだけ」ということがあります。
実際、2000年代前半という時代において、これらシリーズのYGモデルはいずれも「単に数が少ない」というイメージだったといえます。
けれども、近年ではその一部に例外が生じているのです。
それこそがアクアノートのYGモデルなのですが、これは「例外」というよりも、これらの中で「唯一評価されている」といったほうが正しいかもしれません。
めったに出回らないブレスレットのYGモデル、5065/1Jとなるとその評価は凄まじく、ノーチラスを上回るぐらいだといえるでしょう。
しかしながら、オーバーシーズのYGに関しては、全くもってそういった評価とはなっていない傾向があります。
それはこの42042/423Jの現在水準を見れば一目瞭然ですが、YGブレスレットのラグスポであるにも関わらず、202万円で購入可能なのです。
ましてこれ、オーバーシーズとしては最も人気といえる組み合わせである「ラージ+自動巻」という内容。
第一世代のオーバーシーズにおいて最も人気な組み合わせを含んでも、この価格で買えてしまうわけです。
さらに、今現在といえば「K18腕時計が目立った上昇」という現象があります。
何度もお伝えしていますが、特にブレスレットのK18モデルが軒並み大幅上昇という様子があるわけです。
その一方で、このオーバーシーズ42042/423Jは、ちょうど20年前の新品実勢価格と比べても22万円の上昇に過ぎません。
ですから、様々な観点から、今ものすごく穴場的なK18腕時計だといえるかと思うのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2001年1月 の新品実勢価格 |
2021年1月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ヴァシュロンコンスタンタン
オーバーシーズ 42042/423J |
新品 | 20年 0ヶ月 |
¥1,799,700 | ¥2,020,000 | 220,300 | 112.24% |
なお、このオーバーシーズ、2001年時点の定価は298万円(税別)でした。
今とは異なり、2001年頃は定価と新品実勢価格が大きく離れていたわけですが、当時の印象としては約179万円という新品実勢価格を対象としても「凄く高い時計」という印象がありました。
しかし、今となっては179万円という価格は、「オーバーシーズのYG」としてはかなり安いと思われることでしょう。
そして驚くのは、それから20年が経過した今においても、2001年時点の水準から22万円程度しか値動きしていないということ。
他の腕時計の場合、2001年と比べると「激しく異なる」という事例が多々ありますが、このオーバーシーズはあまり変わっていないという不思議な1本なのです。