筆者が初めて自分で腕時計を購入したのが1999年ですが、その頃、オメガの新品実勢価格は10万円台が主でした。
当時といえば、ロレックスエクスプローラーのプレミア価格化から「並行品」への関心が集まった時代だといえますが、実際、郊外のドンキホーテでもそういった並行輸入の高級腕時計が売られるなど、オメガやロレックスがより身近に感じられるようになった頃だといえます。
その頃、筆者が購入したのがシーマスター120mだったのですが、実はそれを買ったのは家から数キロ先のホームセンターでした。
同じぐらいの距離にはドンキホーテがあったわけですが、ドンキホーテの品揃えはホームセンターとは比べ物にならないぐらい多かった記憶があります。
実はシーマスターを買うとき、ドンキホーテを知らなかった筆者は、その数カ月後、ドンキホーテにて、たくさん売られているオメガを発見。
同じシーマスター120mも自分が購入した金額より若干安く、さらに様々なモデルが売られていることに驚きます。
そして、その時目に飛び込んできたのが、このスピードマスタートリプルカレンダーやデイトだったわけですが、見るや否や「こっちを買えば良かった」を思ったわけです。
中でもトリプルカレンダーの3523.30は、その銀文字盤の雰囲気が渋くて気に入りました。
14.8万円(税別)ぐらいの売値だったと記憶していますが、スピードマスターデイトよりも1万円程度高く、シーマスター120mよりも2万円高いといった価格帯だったといえます。
高級腕時計において、1万円、2万円の差はあまり大きくなく、いずれも15万円ぐらいで購入可能というイメージとなるでしょう。
実際、当時の筆者もそのように思ったため、シーマスターではなくトリプルカレンダーを買えば良かったと感じたわけです。
さて、その後筆者はシーマスターを売ろうと思ったのですが、2000年前後当時において15万円程度といった価格帯だったオメガは、2000年代中盤という時代において5万円前後といった価格帯が中古相場となっていました。
そして、それはしばらく続いたわけですが、不思議と2010年代になるとそれらオメガの中古相場は徐々に高くなっていったのです。
2010年代といえば、2013年のアベノミクスを境目に多くの腕時計が高くなったという経緯がありますが、これらオメガに関してはアベノミクス以前から不思議と値上がりしていた様子がありました。
実際、このスピードマスター3523.30も2012年8月の段階で10万円以上という水準になっていたわけで、それ以前よりも高くなっていたといえます。
2000年前後という時代における新品実勢価格が14.8万円(税別)ということは、消費税を含めても15.5万円ぐらいであるわけですから、2012年時点の10.5万円という中古水準は、新品時と比べて5万円ぐらいしか値下がりしていなかったことになります。
2012年8月という時期は、全体的に腕時計が安かった時代ですから、「12年落ちの腕時計がかつての新品実勢価格の5万円引き」という価格は「なかなか評価されている」といえたでしょう。
そして、その後はアベノミクスによって、多くの腕時計が値上がりしたわけですが、この3523.30も値上がりしています。
現在、3523.30は約15.8万円という水準(ABランク以上のボトム価格)なのですが、これは消費税を考慮した1999年の新品実勢価格とほぼ同じといえる水準です。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2012年8月 の安値 |
2021年1月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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オメガ
スピードマスター 3523.30 |
中古 | 8年 5ヶ月 |
¥105,000 | ¥158,000 | 53,000 | 150.48% |
ですから、この3523.30を新品で買ったならば、ほぼ値下がりしていないということになります。
もちろん、どういった売り方をするかによって「購入額-売却」の差は変わるでしょうが、かつての新品実勢価格と同じぐらいでないと手に入らないというのは確かであるわけです。
このオメガ3523.30の事例からいえるのは、純粋に「良い」と思ったものは、他の人も「良いと思っている可能性がある」ということだと思います。
その結果、一定の需要がきちんとあるため、このように「20年前の新品実勢価格が、現在の中古水準と同じ」という現象になるのでしょう。