2017年春頃まで300万円程度といった中古相場だったノーチラス5711/1A-010ですが、その後、目立った上昇をした結果、ついにはデイトナを凌ぐほどの存在感にまでなってしまった経緯があります。
この場合の存在感とは、高い相場や派手な値動きを指すのですが、平たくいえば「多くの人に憧れられるアイテム」となったということだと思います。
筆者は2002年にノーチラスを買ったのですが、当時、ブランド品に興味を持つ若年層が憧れていたのはフランクミュラーでした。2002年の若年層は、ノーチラスには微塵の興味も持っていなかったのですが、現代の“ノーチラス像”を見ると、若年層にまで人気度が浸透していると感じます。
ですから、この4年近くの間において、ノーチラスは人気モデルらしく「派手に値動きする」という印象があったわけで、特に2017年から2019年にかけては「数ヶ月で100万円単位の上昇」という値動きが珍しくなかったといえます。
しかしながら、そんなノーチラスはここのところ、そのような値動きが見られない状況が続いていました。
特にそういった傾向だったのが現行世代なのですが、これまで最も派手な値動きという印象だったこの5711/1A-010については、2020年の緊急事態宣言時から値動きしないという様子が続いていたのです。
デイトナ、サブマリーナ、GMTマスター2といった他の人気モデルの場合、緊急事態宣言後に回復傾向となり、夏過ぎからは「2019年上半期並」もしくはそれ以上の水準にまで上昇するというモデルが目立っていた一方で、ノーチラスは沈黙するかのように目立って動かなかったのです。
緊急事態宣言に多くの腕時計が値下がりしたのは確かですが、その多くがその後回復。その一方で、ノーチラス5711/1A-010は、緊急事態宣言時の水準を何ヶ月にも渡って維持してしまったわけですから、もはや「人気がなくなった」のではとも思われても仕方がなかったといえます。
まして、緊急事態宣言後の6月にも下落傾向となっていたわけで、他の腕時計よりも下落影響が大きかったという側面もあります。
2020年の緊急事態宣言時に「600万円台まで下落」というのはインパクトがあったわけですが、つい最近まで5711/1Aは600万円台で売られていたわけです。
そんな5711/1A-010ですが、なんと今、急激に回復している様子。
では、現在どのような状況なのかというと、約800万円という水準なのですが、700万円台をすっ飛ばして、『600万円台から800万円台になった』という派手な回復を見せているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年6月 の安値 |
2021年1月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
ノーチラス 5711/1A-010 |
中古 | 0年 7ヶ月 |
¥6,655,000 | ¥8,008,000 | 1,353,000 | 120.33% |
このような値動きは、まさに「さすがノーチラス」といえるわけで、ノーチラス人気は依然として健在だということを知らしめたかのようにも感じられます。
筆者としても、いつか700万円台に回復するだろうと思ってチェックしていたのですが、半年以上に渡って600万円台から変わることがなかったため、待ちくたびれていたような感覚がありました。
そして今、やっと回復したわけですが、その結果が『700万円台を飛び越えて800万円台』。もはや、予想を超えるサプライズをしてくれたわけで、やはり「さすがノーチラス!」というように思わせてくれる値動きだと思います。
なお、この5711/1A-010、これまで確認した中で、最も高かったのが2019年7月の858万円というボトム価格です。
現在の約800万円は、かなりな回復ですが、2019年7月水準を上回ったわけではないため、まだ過去最高値に匹敵するような水準というわけではありません。
とはいえ、最初に「回復」という様子を見られた時点で、これほど派手な上昇をするというのは凄いと思います。
2020年6月頃から、回復傾向となったモデルを見るようになりましたが、それらの値動きは「徐々に回復する」という動きだったといえるため、5711/1A-010の「ガバッと回復」という動きはインパクトがあると思います。