雲上ブランドのスポーツウォッチは、最近では『ラグスポ』という通称が一般的になっているわけですが、そういった名称が普及するぐらい人気がある存在だといえるでしょう。
これらラグスポは、基本的に三大時計のスポーツモデルを指すわけですが、特に2017年頃から人気が急加速したといえます。
これまでのラグスポにおける、注目度の変遷をおさらいするならば、「2003年頃まで全く注目されていない⇒2005年頃からパテックフィリップが徐々に注目⇒2018年頃からオーデマピゲも目立った上昇」というようになります。
さて、ここで重要なことが1つあるのですが、それは「ヴァシュロンコンスタンタン」が、上記注目度の変遷の中に含まれていないことです。
ロイヤルオークが2018年頃から目立った値動きをするようになった一方、ヴァシュロンのオーバーシーズには、これまで目立った値動きがありませんでした。
実際、2017年春頃において、ロイヤルオークの14790ST(3針、36mm、白)は約118万円。それに対して、当時のオーバーシーズ42042(3針、自動的、ラージ、黒文字盤)は、約66万円という水準でした。
2017年におけるこれらの相場差は、約52万円となるわけですが、2020年夏頃にはそれよりも大きな差となっていたのです。
当時、14790STが160万円台にまで上昇していた一方、オーバーシーズの42042は70万円前後といった水準。オーデマピゲが目立った値動きをしていたのに対し、ヴァシュロンコンスタンタンはあまり値動きしていなかったため、この時点での両者の相場差は、90万円以上にも開いていてしまったわけです。
また、その後ロイヤルオークはさらに上昇し、今では14790は250万円前後といった水準に到達。オーバーシーズと他のラグスポとの差は広がる一方だといえます。
そんなオーバーシーズですが、現在の状況を見ると、なんと「広がる一方」とはいえない様子があるのです。
それは、この42042という初代オーバーシーズを見れば分かるのですが、現在水準が100万円以上に到達。まさに『目立った値動き』といえる状況に変化しているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年12月 の安値 |
2021年2月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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ヴァシュロンコンスタンタン
オーバーシーズ 42042/423A |
中古 | 2年 2ヶ月 |
¥698,000 | ¥1,080,000 | 382,000 | 154.73% |
これまで、初代オーバーシーズの3針モデルが100万円以上という水準に到達することは、筆者が調べた限りなかったといえます。そういった意味では、初代オーバーシーズの3針は、今回初めて100万円以上という中古水準を達成したといえます。
2017年以降、ノーチラスが以前に増して目立った値動きとなった一方、初代オーバーシーズの中古相場は、「2016年と変わらない」という状況が続いていました。
実際、2016年8月において、この42042黒文字盤は約66万円だったわけですが、先のように2020年夏頃でも70万円前後といった様子。つまり2016年⇒2020年という期間において、ほぼ変わっていなかったといえる側面があったのです。
そんな42042ですが、今や100万円以上という水準になっているわけですから、2020年夏⇒現在というこの数カ月間において異変が起きたといえます。
なお、この初代オーバーシーズには、クォーツモデルもありますが、そちらの価格帯を見ても、値上がりしている印象があります。