ノーチラスのステンレスモデルといえば「高い価格帯」という印象があります。
5711/1Aは、少し前まで値下がり傾向でしたが、それでも600万円台という水準でした。
とはいうものの、3800/1Aに関しては300万円台だったわけで、「ステンレスのノーチラスとしては最も安く購入可能」というポジションとなっています。
また、数年前までは2018年4月の段階で3800/1A-001は、270万円で購入可能。もちろん、当時の印象して「270万円」という価格は、それより前と比べて随分な値上がり状態。ですから、“高く感じた”わけですが、それから約3年後の今となっては、逆に2018年4月水準が「随分安い」といえます。
ですから、これまでの値動きを見る限り、この3800/1A-001は、SSノーチラスとしては地味に感じるものの、しっかりと値動きしていたということになります。ただ、5711/1Aの値動きの激しさからすると、3800/1Aの値動きがなだらかに感じてしまうのは仕方がないといえるでしょう。
しかし、そんな3800/1A-001は今、5711/1Aの感覚をもってしても、派手な値動きといえる状態にあるのです。
この3800/1A-001の現在水準は、なんと約487万円という水準にまで達しているのですが、これは前回お伝えした2020年8月水準に対して91万円ほどの値上がりということになります。
2020年8月時点では、後少しで400万円台といった感覚がありましたが、もはや今の状況は500万円台に近いとすらいえる価格帯になっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年8月 の安値 |
2021年2月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
ノーチラス 3800/1A-001 |
中古 | 0年 6ヶ月 |
¥3,960,000 | ¥4,875,600 | 915,600 | 123.12% |
この3800/1A-001という存在は、1996年頃に登場したモデルで、3800/1Aとしては最も新しい文字盤だといえるでしょう。
ただ、その一方で、なぜか型番は「3800/1A-001」。青文字盤はもちろん、白文字盤よりも新しい文字盤バリエーションであるにも関わらず「-001」なのです。
そうなった理由は、この文字盤を示す枝番リファレンスがこの黒文字盤が出た時期と同じだったからというのが1つの理由でしょう。
また、90年代後半という時代において、ノーチラスは「新しさ」を演出しようとしていたこともあり、3710/1A含め、黒文字盤をメインカラーにしたのだと思います。
ですから、2000年前後といった時代にノーチラスを買おうと思ったならば、「黒文字盤」という選択肢が最もオーソドックスだったわけです。
ちなみに、90年代後半からパテックフィリップのカレンダーフォントが、太めのゴシック体になりましたが、この要素が3800/1Aとしては最終世代の象徴だといえます。
実際、最終世代はバックル部分が観音開きになるといった変化もあるわけですが、それ以前のノーチラスと比べて、何かと“新しさ”を感じられる要素が散りばめられています。
もっとも、今となってはこの世代が現行だった時代からすでに20年ほどが経過しているわけで、「新しい」という感覚はないかもしれません。
そして、今となっては「黒文字盤」に対する印象も変わっているわけで、逆にレアとなっているのが面白いといえます。
もっとも、この3800/1Aの評価において「黒文字盤」が抜きん出て高いといった傾向はこれまでなかったため、この400万円台後半という現在水準は「黒文字盤」への評価というよりも、3800/1Aが高くなったと考えて差し支えがないといえるでしょう。