2000年代後半ぐらいから、自社製ムーブメントを開発・採用するブランドが増えてきましたが、それよりも以前の段階から、マニュファクチュールとして存在するブランドのほうがよりブランド力があるように思います。
そういった意味では、昔からの数少ないマニュファクチュールは価値あるブランドといえるわけで、中古相場もそれなりに評価されているという感覚になるでしょう。
しかしながら、実はマニュファクチュールということが、中古相場で評価されるといったことはあまりなく、実際、ジャガールクルトやピアジェといった、昔から存在するマニュファクチュールの評価はそれほど高くありません。
これら2つのブランドは、マニュファクチュールの中でも、ムーブメント提供実績や機械のラインナップ数に関して、他を圧倒しているともいえる存在。マニュファクチュールといわれているブランドでも、それほど自社開発ムーブメントの数を持っていないメーカーもあるわけですから、それらと比べて、JCLやピアジェは「ホンモノ感が強い」ということもできるでしょう。
けれども、そのような側面があまり評価されることはなく、特にピアジェはびっくりするぐらい評価されていないといえます。
そういった指摘は、数年前からしていたのですが、2021年現在でもピアジェの評価は大きく変わっていません。
実際、このアップストリームの3針自動巻モデルは、2017年9月水準と現在水準が同じといった状況。しかも、30万円台という価格帯で購入可能なのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2017年9月 の安値 |
2021年3月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ピアジェ
アップストリーム GOA27050 |
中古 | 3年 6ヶ月 |
¥398,000 | ¥398,000 | 0 | 100.00% |
ピアジェの自社製ムーブメントは多岐にわたるわけですが、その中にはクォーツが含まれるため、それに該当するモデルの評価が高くないということは仕方がない部分があるといえるかもしれません。
しかし、このアップストリームに搭載されているのは、自動巻ムーブメント。つまり、普通であれば、“人気があるはずの存在”なのですが、今でも30万円台で購入可能であるわけです。
ここ数年、高級腕時計の相場は上昇しているといった印象があり、「買えない」と言っている方がいらっしゃいますが、そういった方にこそ、このアップストリームは最適な選択だと思います。
とはいうものの、本当にそのような感覚でこのアップストリームを買う人がいたならば、2017年と同じ水準ということは考えにくいわけで、依然として需要が低いといった傾向があるのでしょう。
このアップストリームという存在は、本来雲上スポーツに匹敵する立ち位置であるわけですが、今の水準では、自社製ムーブメントの自動巻モデルとして最安値といったぐらいの価格帯となっているわけです。
ムーブメントといった側面から、腕時計を評価するという文脈でも、不思議とピアジェが取り上げられることは少なく、このアップストリームに搭載されている504Pというムーブメントは誰も知らないといっても過言ではありません。
結局のところ、いつの時代でも「いい時計なのに安い」といった存在はあるわけですが、そういったものが必ずしも評価されるというわけではないようです。