2006年に登場した5980/1Aは、ノーチラス初のクロノグラフモデルでありますが、デビュー以降、ノーチラスファミリーにおいて、「最も相場が高い」といった位置をキープし続けていました。
特にこの3年ぐらいの間は、ただでさえ「高い」と言われている3針と比較しても、比べ物にならないぐらい“高い価格帯”といった感覚があり、その相場はみるみるうちに上昇していったわけです。
2016年の段階で、5980/1A-014は538万円というボトム価格だったのが、2017年12月には698万円に到達。この頃、このような価格帯の腕時計でこのような値動きをする存在は珍しかったため、デイトナ116506などとともに「高い腕時計像の価格帯を押し上げたモデル」だといえるでしょう。
そんな5890/1Aですが、この5年において最も相場が高かったのが、先にお伝えした5980/1A-014という傾向があり、青文字盤の5980/1A-001はそれよりも安いといった傾向があったのです。
ここ数年のノーチラスの高値要素といえば「青文字盤」ですが、この5980/1Aについては「青文字盤よりも黒文字盤のほうが高い」とった傾向があったわけです。
しかし近頃、そんな5980/1Aにおいてそのような序列が変わってきている様子があります。
それこそが、現在の青文字盤水準なのですが、実はこれ、現在黒文字盤よりも高い水準となっているのです。
ですから、今の相場は、長期に渡って続いていた5980/1Aの価格序列が変わったという珍しい状況であるのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年10月 の安値 |
2021年3月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
ノーチラス 5980/1A-001 |
中古 | 0年 5ヶ月 |
¥11,500,000 | ¥12,890,000 | 1,390,000 | 112.09% |
この5980/1A-001ですが、これまで確認できた最高値水準は2019年11月の約1242万円というボトム価格でした。
その後、5980/1Aが全体的に値下がり傾向となったため、この5980/1A-001も2020年10月には1115万円に下がっています。
しかし、それから数カ月後の今、再び5980/1A-001は1200万円台に回復し、今の水準は2019年11月を超えたという様子であるわけです。
そのため、この5980/1A-001は「過去最高値更新」といっても差し替えない様子となっているわけですが、その一方で、これまで高かったはずの黒文字盤、5980/1A-014は未だ値下がり傾向となっているのです。
これまで確認できた5980/1A-014のピーク水準は、2019年6月の1480万円ですが、現在ボトム価格は約1128万円であります。
ちなみに5980/1A-014は、2番目、3番目に安い個体等を例としても1200万円台であるため、2019年水準と比べるとそれなりに値下がりしている状況が続いていることが分かります。
ですから、5980/1A-001が5980/1A-014よりも高いという今の状況は、5980/1Aにおいて「青文字盤が高まった」というよりも、5980/1A-014が停滞気味な結果、5980/1A-001のほうが高くなってしまったといったような感想になります。
そして、驚くのは、これまで「最も高いノーチラス」という印象だったこの5980/1Aが、3針の5711/1A-010よりも安い価格序列となっている点。これまでも、「コンプリケーションよりも3針のほうが高い」という現象はありましたが、5980/1Aは別格だったわけで、3針のほうが高くなるということは起こり得ないぐらい相場差が開いていました。
それが今や、5711/1A-010が1480万円という水準に対し、5980/1Aは、最も高いこの5980/1A-001をもってしても1298万円となっています。ちなみに、1480万円という5711/1A-010の現在水準は、5980/1A-014のピーク水準と同等です。