2005年は、パネライにとって過渡期だったといえる年ですが、この頃何が起きていたかというと、「マニアックなパネライ像から、多くの人にとって分かりやすいパネライ像」ということへの変化を目指していたように感じます。
その頃における特筆的な変化が、ラジオミールの脱高級化だったり、高級モデルに搭載されるムーブメントの変化だったりするわけですが、これら2つの要素を含んだモデルがこのPAM00200だといえます。
このモデルが登場したのが、まさに2005年であるわけですが、どのような内容かというと、「自社製ムーブメント搭載のWGモデル」であります。
今の時代において、この200番を正面から見ると、「よくあるラジオミール」といった感想になってしまいますが、実はこのモデルこそ、「初の自社製ムーブメント搭載モデル」であるわけです。
自社製が本格的に採用され始めた年は、2006年という印象がありますが、それに先行して、2005年に「限定モデル」として少数が販売。それこそが、この200番と201番だったのですが、どちらも最高級の限定モデルというキャラクター。先程お伝えしたように200番はWGで、201番にはプラチナが採用されていました。
2005年という年は、ラジオミールベースが登場するなど、「ラジオミールが脱高級化した」という年でありますが、自社製ムーブメント初採用の200番と201番は最高級モデルという役割だったのが興味深いといえます。
やはりこのようなことを見ても、この時代は「過渡期」といえるわけで、高級だった時代のラジオミール像が消えつつある中において、最後に登場した「最高級ラジオミール」という存在がこの200番と201番だったのではないでしょうか。
もちろん、今となっては「パネライの自社製ムーブメント」に対してレア感はないため、孤高という印象を抱くことはないものの、「自社製ムーブメント初採用」というニュース性があった2005年においては、それ以前の尖ったラジオミールからの地続き的モデルという印象だったと思います。
そして、中古相場を見ると、この200番の評価はやはり「尖ったラジオミール」といった評価がなされており、相対的に高い水準に位置すると感じます。
また、相場も動く傾向があるようで、2018年12月水準が約159万円だったのに対し、現在水準は約189万円という様子。約2年という間に29万円ほどの上昇となっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年12月 の安値 |
2021年3月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オフィチーネパネライ
ラジオミール PAM00200 |
中古 | 2年 3ヶ月 |
¥1,598,000 | ¥1,892,000 | 294,000 | 118.40% |
ここ3年ぐらいのパネライ評価において、尖ったモデルとそうでないモデルとの評価が分かれるという傾向があるように感じるのですが、尖ったモデルが値動きする一方、通常モデルの値動きはあまりしない印象があります。
そういったことは、今現在でも感じられるのですが、あまり値動きしていない通常モデルが目立っている一方、この200番含め、尖ったモデルは値動きしているという印象があるわけです。
デットストックムーブメントが採用されていた2000年前後のモデルと比べると、この2005年という過渡期時代のラジオミールは、インパクトが弱いようにも感じられますが、「初の自社製ムーブメント搭載モデル」ということに対する評価が高いのだと思います。
ラジオミールには、2002年頃までゼニスが主に採用されていましたが、2004年からはジャガールクルトベースとなり、2005年にそれが自社製ムーブメントになったという変遷をこの200番から強く感じとることができるわけですが、パネライファンにとって200番は歴史的な1本なのでしょう。