旧6桁世代から新6桁世代への移行が始まったのは、デイトジャスト126333が登場した2016年からだといえますが、「世代が移行した」という印象を決定づけたのが、2020年のサブマリーナ一斉モデルチェンジだったといえます。
これまで、ロレックスの世代は4桁⇒5桁、5桁⇒6桁(旧)と変化してきたわけですが、その世代変更スパンは、どんどん短くなっている傾向があるといえます。
実際、4桁が約40年、5桁が約20年、旧6桁世代は約10年であるわけで、見事に半分になっているといえます。
旧6桁⇒新6桁への移行は、これまでの事例からするとかなり早い段階で行われたため、サブマリーナが一斉モデルチェンジされるまで、あまり実感がわかなかったのだと思います。
ただ、サブマリーナの一斉モデルチェンジ後になると、旧6桁世代が「1つ前の世代」という印象へと変化。そして、そのような状況になった結果、旧6桁世代は、「実は特異な世代だった」という認識ができるようになったと感じます。
現行の新6桁世代、また5桁世代の特徴としては、基本的にシンプルな構成が目立つロレックスですが、旧6桁世代では様々なイレギュラー要素があるわけです。
とはいえ、そういった要素はこれまで、特にレアと評価されることはなく、ごく当たり前なものと思われていたでしょう。
実際、旧6桁世代が登場したときの様子を思い返すと、5桁時代に「レア」とされていたイレギュラー要素を盛り込みすぎて、「逆にレア感が薄れてしまった」というものだったように思います。
しかし、旧6桁世代が生産終了となった今、かつて“やりすぎ”と思われたイレギュラー要素は、実は、長いロレックス史の中でも旧6桁特有だったということが判明したわけで、そろそろレア要素として評価されても不思議ではないといえるでしょう。
その旧6桁特有のイレギュラー要素の筆頭格が、このターノグラフであるわけですが、その日本限定モデルはその究極的な姿といえるかもしれません。
ターノグラフの分かりやすいイレギュラー要素としては、デイトの色が違うという点があります。
通常、ロレックスのデイト表示は『白背景に黒文字』。それが、この時代のターノグラフの場合、通常モデルでも『白背景に赤文字』が採用されていたわけですから、かなりなイレギュラー要素だったといえます。
ロレックス以外のブランドの場合、黒文字盤と白文字盤とでは、デイト表示の色が異なるといった傾向がありますが、ロレックスの場合、この50年ぐらいの間のモデルは、『白背景に黒文字』以外にありえないわけです。
そして、この日本限定モデルになると、なんと『白背景に“緑文字”』となるわけですから、これまでのロレックスの歴史からしても、「ありえない要素」だといえるでしょう。
そういった意味では、この日本限定116263は随分なレア要素が満載なわけですが、現在の中古相場を見ると特にそういったイレギュラー要素が、強く評価されているとはいえない状況です。
現在水準は約139万円という状況なのですが、これは2020年の緊急事態宣言時に下落した状態から「回復した」にすぎない変化なのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年5月 の安値 |
2021年3月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
ロレックス
ターノグラフ 日本限定 白文字盤 116263 |
中古 | 0年 10ヶ月 |
¥1,195,000 | ¥1,398,000 | 203,000 | 116.99% |
2020年の緊急事態宣言後、様々なモデルが復活し、今やSSデイトナなど人気モデルを含めて、過去最高値を大幅更新といった時計が多くなっている状況があります。
しかしながら、この日本限定116263は、まだ緊急事態宣言前水準と同じぐらいに回復したといった程度であるわけです。
まして、2020年9月にはサブマリーナ一斉モデルチェンジがあったわけで、それより前と以降では、「旧6桁のイレギュラー要素」に対するレア感覚が変化しているといえるわけで、そういったことを考慮すると、この日本限定116263は、特に目立って評価されているわけではないといえます。
先日お伝えした、サブマリーナ116613LB前期文字盤もそうですが、「旧6桁のイレギュラー要素」は、現在の市場では、高く評価されていないのでしょう。