スピードマスターには、数多くのモデルがありますが、その中でも「有名」だといえるのが、この3510.50だと思います。
一見するとムーンウォッチに見えるこの3510.50ですが、そのキャラクターは「手頃なモデル」といったところでしょう。
スピードマスターの価格序列において3510.50は、「最も安価」といえるポジションですが、ムーンウォッチを頂点としたならば、高い順に『ムーンウォッチ(手巻き)>デイト等(自動巻)>3510.50(自動巻)』となります。
他のブランドの場合、自動巻よりも手巻きのほうが安価といった傾向があるわけですが、同じ自動巻についても、デイトより3510.50のほうが安価、という、オメガの価格序列は分かりづらいといえます。
これら価格序列の決め手となるのは、ムーブメントの機構そのものではなく、ベースムーブメントのグレードであるわけですが、それを理解するとこの価格序列が一気に分かりやすくなります。
実際、同じ自動巻でも、デイトやデイデイトにはETA7750が搭載されているわけですが、この3510.50に搭載されているのは、通称「2階建てムーブメント」といわれる、安価なETA2892A2です。
そして、そのような機械を採用することによって、“ムーンウォッチ的な見た目でも安い”というのが、この3510.50の大きな魅力だといえます。
しかしながら、そういった要素は、高級腕時計の初心者からは歓迎されても、コレクター目線では評価しづらいといえます。
なぜなら、ムーンウォッチ的な見た目が欲しいのならば、コレクターは、本物のムーンウォッチを買うでしょうし、「2階建てムーブメント」のような廉価モデル特有の魅力を楽しむのであれば、ダイナミック5240.50など“ムーンウォッチとは異なる個性”となるわけです。
そういったことから、コレクター目線としては、この3510.50を選ぶ理由は、「強くない」となるわけで、中古市場での需要はそれほど高くないのではないかと推測できます。
まして、この3510.50はかなりな数が生産されたようで、中古流通量も多め。ですから、「需要>供給」といったように、値上がりする難易度は、他の高級腕時計よりも高いといえます。
そういったことから、長らくこの3510.50は、10万円台前半といった水準から変わらなかったわけですが、このような理由を考慮すると、「変わらなかった」、つまり下落とならなかっただけでも優秀という見方ができたわけす。
しかし、そんな3510.50はこのところ、しっかりとした上昇をしているわけで、その相場は徐々に上がっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年7月 の安値 |
2021年3月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オメガ
スピードマスター 3510.50 |
中古 | 0年 8ヶ月 |
¥154,000 | ¥184,800 | 30,800 | 120.00% |
前回この3510.50をお伝えしたのは2020年7月ですが、その際は約15万円という水準でした。
先のように、3510.50は長らく10万円台前半といった傾向だったため、この「15万円」という水準をもってしても、「かなり凄い」といえたわけですが、それから8ヶ月後の今となっては、さらなる上昇へと変化。
そうなった結果、現在ボトム価格は、今や約18万円。つまり、10万円台後半という水準に達しているのです。