2003年にフランクミュラーがクレイジーアワーズを発表した際、「凄いことが起きた」という感覚があったといえます。
こういった時間の表現方法は、前代未聞だったわけですが、メカニズム的には、ジャンピングアワーの応用というように、複雑機構を使っているわけではないわけで、むしろ「その手があったのか!」というように、フランクミュラーらしい発想力に驚いたわけです。
デビューするや否や、クレイジーアワーズは多くの時計ファンから注目されたわけですが、当時としてはかなり高い価格帯、なおかつメイン時計というよりも“遊び時計”というキャラクター要素であるために、デイトナビーチのようなキャラクター性だったといえるでしょう。
2003年当時のクレイジーアワーズは、その遊び心のある見た目とは逆に、それなりに高い価格帯といったポジションだったわけで、ラインナップされているケース素材もK18といった傾向。筆者の記憶では、その頃の新品実勢価格は150万円程度でしたが、これは同じく2003年にデビューしたデイトナのメテオライト文字盤と同水準だったと記憶しています。
その後、クレイジーアワーズにはSSモデルなども投入されたようですが、2003年デビュー時の感覚としては、デイトナビーチやメテオライト文字盤のように、「特殊な高級モデル」という印象がかなり強かったといえます。
そんなクレイジーアワーズですが、ここのところの相場は、デビュー時のように、他の腕時計と比べて相対的に高いとはいえない様子となっています。
2015年時点では、アベノミクス以前、すなわち2009年水準と比較して値上がり状態だったわけですが、現在相場は2015年水準よりも値下がりしている様子があります。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2015年9月 の安値 |
2021年4月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
フランクミュラー
クレイジーアワーズ WG 黒文字盤 5850CH |
中古 | 5年 7ヶ月 |
¥1,050,000 | ¥918,000 | -132,000 | 87.43% |
クレイジーアワーズには、様々な仕様がありますが、この5850サイズ、WG、黒文字盤という組合わせは、2009年12月時点では約80万円、2015年9月では105万円、現在では約91万円という水準です。
価格だけを見ると、“2015年が最も高く、現在はその次”といったように思いますが、他の腕時計相場と比較した場合の「相対的なポジション」という観点では、2009年水準が最も高かったように思います。
実際、2009年において約80万円という価格帯で、どのような腕時計が手に入ったかということを考えると、
などが選択肢だったわけですが、それらは現在では、200万円以上という水準です。
ですから、現在のクレイジーアワーズ水準は、2003年のデビュー時の印象や、2009年頃の他のモデルとの相場相関を考慮すると「安くなった」というように感じます。