1998年に登場した復刻版モナコですが、ここ3年ぐらいの価格帯は「カレラよりも安い」という印象です。
これら復刻世代は、1996年に登場したカレラから始まったのですが、どちらも当初は限定モデルとして登場。その後、両者とも限定が解除され、通常販売されるのですが、その際モナコはモデルチェンジをしています。
カレラは、従来からのモデルが継続販売された一方、復刻モナコの初代は「限定版しかない」ということになるわけですから、2000年前後といった時代の感覚としては、モナコのほうが「カレラよりも高い」という印象でした。
実際、筆者も2000年に復刻カレラを新品で購入したのですが、その際の感覚としても、初代モナコは高いという記憶があります。
2000年において、この初代モナコは生産終了だったわけで、当時の選択肢としては中古しかありません。ですから、その中古相場が高かったという感覚です。
それが近年では、モナコよりもカレラのほうが高い中古相場となっているわけで、実際、カレラCS31110が30万円前後となっていた2019年8月において、このモナコCS2110は約21万円という水準だったのです。
筆者としては、この世代の復刻版は、カレラとモナコ、いずれも同じように魅力的と思うため、これまでのカレラとモナコの中古相場は「やや離れている」という印象でした。
そして今、モナコは2019年水準よりも上昇し、約25万円というボトム価格になっているわけですが、これはカレラ水準を考慮すると、やや均衡がとれたような感覚だと思います。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年8月 の安値 |
2021年4月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
タグホイヤー
モナコ CS2110 |
中古 | 1年 8ヶ月 |
¥219,240 | ¥253,000 | 33,760 | 115.40% |
カレラとモナコという存在は、現在のタグホイヤーの中でメインモデルといった感覚があるわけですが、モナコのほうがよりマニアックという印象です。
通常、中古相場では、「マニアック」という点は評価されやすいように感じられますが、マニアックな初代復刻モナコの評価は、そこまで高くないといえます。
もちろん、2017年頃までの水準と比較すると、立派に値上がりしているのですが、実は現在水準は2018年7月よりも安いという状況でもあります。
2018年7月のボトム価格は、約28万円という水準だったわけで、当時としてはカレラと同じように評価されているという感覚でした。
しかしそれ以降、カレラは継続して評価されているのに対し、この初代復刻モナコの評価は不安定な状況へと変化。
なぜ、このCS2110がこういった状況となっているのかは分かりませんが、70年代のオリジナルモナコと似ていないということが、復刻カレラとの差の理由なのかもしれません。
実際、カレラは1964年版を忠実に再現した一方、このモナコは当時の青文字版を復刻したというわけではありません。
とはいっても、LVMHグループ入りする前の、この復刻世代ならではの独特な雰囲気を醸し出しているわけで、魅力的なモデルであることに変わりないと思います。
ただ、そういった『90年代タグホイヤーへの評価』という文脈はまだ多くの人に共有されていないため、この良さが伝わりづらいのでしょう。