パネライの基本形である手巻きモデル。2針のルミノールベースと、それにスモセコが追加されたルミノールマリーナの2系統があります。
特に2000年代中盤頃までは、ラインナップがシンプルで、基本的に、ベースとマリーナのラインナップは黒文字盤と白文字盤といった構成。それにPVDもしくはチタン版があるといった具合でした。
ですから、この白文字盤は、最もオーソドックスなパネライといった感覚だったわけですが、「黒じゃなくて白文字盤」というのが“他の人と違う”という良さだといえるでしょう。
この世代を知る方にとって、この113番は知名度の高いモデルといえるかと思います。PAM00113と聞いて「白文字盤ルミノールマリーナの裏スケ世代」というようにピンとくる方がそれなりにいるでしょう。ただ、その一方で、2000年代前半頃のパネライ文脈を知らない方にとっては、「どういったキャラクターのモデルなのか」ということが分かりづらいかもしれません。
実際、現在のパネライのラインナップを見ると、この113番の後継は「どれなのか」ということが認識しづらく、また、現行モデルと113番の間には、どういったモデルがあったかということも把握しづらいといえます。
この113番の現在水準は、2016年よりも低い水準となっているのですが、その理由は上記のようなことが要因なのかもしれません。
2016年5月時点でのボトム価格は約45万円だったのが、現在では約37万円。現在のように、全体的に腕時計が高い水準の時期において、このPAM00113が30万円台後半というのは、以前であれば「安い」と感じたかと思います。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2016年5月 の安値 |
2021年4月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オフィチーネパネライ
ルミノールマリーナ PAM00113 |
中古 | 4年 11ヶ月 |
¥459,850 | ¥376,200 | -83,650 | 81.81% |
パネライ相場は2017年頃までは、「高い時期には高く」「安い時期には安い」といった傾向だったわけですが、ここ2、3年は「高い時期でも高くない」といった感覚があります。
そして、それに該当するのが、まさにこの113番のような2000年代に登場した世代であるわけです。
ちなみに、2016年時点ではエクスプローラー14270などは30万円台後半だったため、この113番よりも安価だったわけですが、今となっては14270は60万円台、この113番は30万円台とであるわけです。
この113番というモデルは、パネライらしいシンプルさが魅力であるわけですが、こういったシンプルさが見られなくなった現代のパネライを見ると「良い時代のモデル」だと思います。
しかしながら、2000年代といった時代のパネライ文脈を知らない方にとっては、この良さが分かりづらく、その結果、需要<供給という状態にならず、2016年水準以下といった状況なのかもしれません。