1996年に1964年版の復刻モデルとして限定販売された世代のカレラ、CS3111。
その頃ラインナップされたのが、このCS3111と、CS3110、CS3140の3つ。CS3111は黒文字盤、他の2つは銀文字盤で、CS3140のみがYGという構成でした。
銀文字盤が1964年のオリジナルを忠実に再現したと感じる一方、黒文字盤は、どことなく近代的な感覚があるため、90年代当時のアレンジが加えられたように思われるかもしれません。
しかしながら、実は黒文字盤のCS3111こそ1964年版のオリジナルを忠実に再現しており、当時のYGモデルに採用されていた黒文字盤と「ほぼ同じ見た目」といえるのです。
そんな黒文字盤のCS3111は、近頃この世代のカレラの中で最も人気といった傾向があり、2020年3月には40万円台に達していました。
ちなみに、この時代のカレラには、CS3111とCS3113という、2つの黒文字盤があるのですが、両者は入れ替わって登場したため、今ではどちらも「数が少ない」という傾向があります。
ただ、2016年頃までの段階では、CS3111は“それなりに見かける”といった印象だったわけで、その相場も10万円台といった水準でした。
この時、筆者は、当時のCS3111の評価に対して「これだけの時計が10万円台」と表現したわけですが、2016年の段階では、この美しい復刻世代のカレラは、後の“非復刻世代”よりも安価な評価となっていたわけです。
ですから、CS3111がその後上昇したのは、筆者としては「当たり前」といった感覚だったわけですが、今となっては、筆者の想像を超えた水準に達している様子があります。
では、どうなっているのかというと、CS3111の現在水準は約59万円にまで達している状況。2020年3月の40万円に対して、20万円近くも高くなっているのです。
本記事で参考とした中古腕時計
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本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2020年3月 の安値 |
2021年5月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
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タグホイヤー
カレラ CS3111 |
中古 | 1年 2ヶ月 |
¥400,000 | ¥598,000 | 198,000 | 149.50% |
この復刻世代のカレラの中で、これまで50万円台といった水準に達していたのは、YGのCS3140ですが、もはやステンレスのCS3111がそれを上回る水準に達していることに驚きます。
人気モデルの相場といえば、「SSがYG並に上昇」ということがありますが、この復刻世代のカレラでもそれが起こったということに対しては、かねてからこのモデルのファンである筆者としても「驚く」という感想になります。