オメガの腕時計といえば、人気があるものの、「マニア向け」や「レア感」といった要素が強くないため、中古市場ではあまり値動きしないという印象がありました。
実際、2017年頃の段階では、リーマンショック後の相場と比べても「ほぼ変わらない」というモデルが多かったわけです。
2017年といえば、アベノミクス時のような値動きが、再び起こったといえる時代。リーマン後⇒アベノミクスで高くなった相場が、さらに目立って高くなったという年だったといえます。
つまり、2017年時点では、「目立って上昇」という値動きが数度起きていたということになるわけで、リーマン後の2009年という時代と比べると「価格帯がかなり違う」というモデルが多々あったわけです。
それに対して、オメガ腕時計の多くは、2017年水準と2009年水準が「そこまで派手に変わらない」という傾向があったのです。
もちろん、ムーンウォッチは値動きしていましたが、それをもってしても「他ブランドと比べて地味」という印象は拭えませんでした。
しかし、そんなオメガの印象は、2018年頃から変化したといえます。
この頃、ムーンウォッチは20万円台⇒30万円台となったり、尖った限定モデルが徐々に評価されるなどの現象が目立っていたのですが、その他にも「じわじわと値動きする」というモデルが増えてきたと感じます。
その例と今回取り上げるのが、このシーマスターのアメリカズカップ限定モデル。
これは、2000年に登場した限定モデルなのですが、スピードマスターの限定モデルよりも、「限定」という印象が弱いモデルだといえます。
というのも、現行時代、「限定モデル」ということよりも、「WGベゼルを備えるシーマスター」といった印象が強かったからなのですが、現行当時、多くの時計店やドンキホーテなどで“よく見かけるモデル”といった感覚でした。
実際、「アメリカズカップ」の知名度は日本では高くないといえるのですが、なぜこんなに日本で流通しているのかというと、やはり「WGベゼル」ということが大きいといえます。
2000年当時といえば、「貴金属素材ベゼルのSSスポーツ」が注目されていた時代。というよりも、ヨットマスターロレジウムが大人気といった時代だったわけですが、このアメリカズカップは、安価に購入可能な“ロレジウム的”存在だったわけです。
ですから、2017年において、当時の相場が2009年水準と「大きく変わらない」というのも、特に「すごくお得な状況!」というわけでも無かったわけで、他のオメガと何ら変わりない様子だったと感じられました。ちなみに、このアメリカズカップ、2009年10月水準は約13万円でしたが、2017年5月水準は約15万円であります。
2009年⇒2017年にはアベノミクスが含まれるわけですが、それでも、この8年間での変動額は約2万円に過ぎなかったのです。
しかし、2017年以降は「じわじわと変化する」といった様子になり、実際、2017年⇒2018年では2.3万円ほどの上昇。2009年⇒2017年の8年分の値動きを1年で達成したということになります。
そして、その後もこのアメリカズカップはきちんと上昇し、2019年6月には20万円以上という水準に達しています。
さて、そんなアメリカズカップ2533.50ですが、そういった値動きは、そこから今にかけてもきちんと続いている様子があり、現在のボトム価格(ABランク以上)は、約23万円という状況となっている様子です。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2019年6月 の安値 |
2021年6月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オメガ
シーマスター アメリカズカップ 2533.50 |
中古 | 2年 0ヶ月 |
¥213,840 | ¥239,800 | 25,960 | 112.14% |
この2533.50は、2019年6月⇒2021年6月の2年間で約2.5万円の上昇という動きを見せたわけですが、こういった「じわじわとした動き」が2018年以降続いていた結果、2017年水準と比べると「随分高くなった」といえるでしょう。
他のオメガもそうですが、2017年頃まで「リーマンショック後の相場とあまり変わらない」という印象だったのが、それと比べて「高くなった」という事例が多くみられるようになったと思います。
実際、この2533.50は、先程もお伝えしたように、2009年10月水準は約13万円、2017年5月水準は約15万円でした。それが今では、約23万円ですから、「明らかに高くなった」といえる状態であるのです。