2002年からパネライブームが始まったといえますが、その頃クロノグラフのパネライは、かなり高価という印象がありました。
2002年でも今でも「クロノグラフ」が人気ということに変わりありませんが、2002年当時のパネライに用意されていたクロノグラフモデルは、高級機種という位置づけだったのです。
当時、最も手に入れやすかったといえるのが、ルミノールクロノですが、それでも「エル・プリメロ搭載」という高級機種。当時の実勢価格の観点だと「デイトナのライバル」といった感覚だったといえます。
そして、ラジオミールとなると、その入手難易度はさらに上昇。というのも当時、ラジオミールのクロノグラフモデルには「限定品」しかなく、それもデットストックムーブメントなどを搭載した特殊な激レアモデルだったわけです。
そのような経緯がある「クロノグラフのパネライ」ですが、今現在の様子はどうかというと、「そこまで高いイメージはない」といったところでしょう。
実際、ラジオミールのクロノグラフでもPAM00288などは、現在40万円台後半で購入可能という様子。他のパネライと比較してもそれほど高いというわけではありません。
なぜ、「クロノグラフのパネライ」にそういった変化が起きたかというと、2000年代前半と後半とで、パネライのラインナップ構成が変わったからだといえます。
2000年代前半におけるパネライクロノグラフの立ち位置は、先のように“超高級”といったところでしたが、2000年代後半になるとそうではない状態だったといえます。
先程、40万円台で購入可能という事例で登場した288番には、ETA7750ベースの機械が搭載されているわけですが、これは「普通になった」といえるかと思います。
288番が登場したのは2007年ですが、その頃すでにラジオミール事態が脱高級化されていました。
ラジオミールは、2000年代前半の段階では「最高級」とう役割でしたが、2000年代後半の段階では「ルミノールと同じ構成」になっていたわけです。
ではラジオミールはいつ頃『高級⇒脱高級』となったのかというと、それこそが2005年前後という時代であります。
この2005年にラジオミールにも「ベース」が登場し、ルミノールと全く同じ位置づけともいえるエントリーレベルのラジオミールが出たのです。
ただ、クロノグラフに関しては、その時点ではまだ「高級」という要素を捨てきれなかったようで、通常のクロノグラフとは異なる要素を盛り込んでいました。
それが、「ラトラパンテ」であるのですが、これはスプリットセコンドクロノグラフとも呼ばれる機構。ブランドによっては、複雑機構に分類されており、例えば90年代のブルガリカタログでは、トゥールビヨンとともに「最高級」といった文脈で紹介されていました。
そして、そのラトラパンテを搭載したモデルこそ、2005年に登場した、このPAM00214。これは、ラジオミールの「通常モデル」としては初のクロノグラフモデルであります。
ちなみに、2003年にもラジオミールのスプリットセコンドクロノグラフがありましたが、やはりそれは限定品という扱い。しかもラインナップされていたのはプラチナ、ピンクゴールドだったわけで、やはり「超上級」なモデルでした。また、それにはビーナス185のデットストックムーブメントが搭載されていたのです。
ですから、その2年後に登場した、この214番は、まさにPAM00158といったスペシャルなモデルを「通常モデル化」した存在だといえるかと思います。
そういった意味では、この214番という存在は、どちらかというと「高級なラジオミール」に分類できるかと思うのですが、2018年7月においては50万円台という様子だったのです。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年7月 の安値 |
2021年7月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
オフィチーネパネライ
ラジオミール クロノグラフ PAM00214 |
中古 | 3年 0ヶ月 |
¥549,720 | ¥632,800 | 83,080 | 115.11% |
このPAM00214、一見するとPAM00288と似ているため、高級といった要素を感じらないのかもしれません。
そのため、2018年7月時点では、288番と価格差があまりない状態だったのでしょう。
けれども、今では214番の水準は約63万円にまで上昇。288番に対して10万円以上もの差がある状態となっています。
とはいっても、実はこの214番、2015年6月水準は75万円でした。
ですから、現在の約63万円という水準をもってしても、まだ2015年水準よりも安価といえる側面があるのです。