2017年以降、目立って上昇するパテックフィリップはノーチラスが中心といった印象があったかと思いますが、今年2021年になると、これまであまり派手に動かなかったモデルもそれなりに値動きするというケースが目立っているといえます。
例えば、コンプリケーションの5055G-001は、2017年以降200万円前後といった感覚が続いていましたが、今では300万円以上に変化。また、5055と同じ世代の5085/1Aも2020年3月水準が約204万円だったのに対し、現在では約267万円といった状況で、目立った上昇をしている様子があります。
また、パテックフィリップ以外でも、ランゲ1などは2015年をピークにその後は下落という状態が続いていましたが、今年2021年になると「2015年水準を上回る」という様子に変化しているわけです。
このようなことから、現在の様子は全体的に値上がりしている印象となるわけで、特にコンプリケーションといったように、本来“強い要素”を持っているモデルは、なんとなくほぼ全てが値上がりしているような感覚となります。
しかしながら、そんなコンプリケーションの中でも、現在「値下がり」となっているモデルが存在。
それこそが、このトラベルタイム5134G-001なのですが、現在水準は、なんと2018年10月よりも値下がり状態であるのです。
このトラベルタイム5134G-001、現行だったのは2000年代前半といった時代ですが、当時の新品実勢価格は、コンプリケーションの中で最も安価という立ち位置でした。
むしろ、コンプリケーションに分類されるかどうかも微妙といった感覚もあったわけで、“そこまで高くないほうのパテックフィリップ”という印象だったといえます。
それが2010年代になると、このトラベルタイムは打って変わって、“高いほうのモデル”という立ち位置に変化。2017年4月時点では、「年次カレンダーよりも高い水準」となっていたわけですが、2000年代前半の感覚からすると、「トラベルタイムが年次カレンダーよりも高い」という状況は前代未聞だったといえます。
むしろ、この頃からトラベルタイムは、同世代のコンプリケーションの中で、ワールドタイムの次に高いといった立ち位置となっていたわけで、相場も年々上昇していたのです。
しかし、そんな5134G-001の現在水準は232万円という状況。これは、2018年10月水準よりも18万円安といった状況であるわけですが、年次カレンダー含め、他の同世代コンプリケーションが上昇したことによって、最も安価なコンプリケーションという立ち位置に戻ってしまったといえます。
本記事で参考とした中古腕時計
本記事の価格比較
腕時計 | 状態 | 期間 | 2018年10月 の安値 |
2021年7月 の安値 |
変動額 | 残価率 |
---|---|---|---|---|---|---|
パテックフィリップ
トラベルタイム 5134G-001 |
中古 | 2年 9ヶ月 |
¥2,500,000 | ¥2,320,000 | -180,000 | 92.80% |
このトラベルタイムよりも安価だった年次カレンダーは5035でありますが、現在5035R-001は約250万円という水準。この5134G-001よりも18万円ほど高い様子となっているのです。
YG、RG、WGの中で、RGが最も高価という傾向があるため、5134G-001との比較では5035G-022(WGの黒文字盤)が適当だと思われるでしょう。
実際、5035G-022は昨年10月の段階でも約238万円だったわけですから、5035Rよりも安価といった側面があるかもしれません。
けれども、その5035Gの昨年10月水準を例としても、このトラベルタイム5134G-001の現在水準よりも「高い」という状況に違いないわけです。
更に凄いのは、その年次カレンダー5035G-022は今年4月の時点で278万円という水準に達しているという点です。
やはり、このようなことを考慮すると、トラベルタイムは年次カレンダーよりも安価になったといえるかといえる状況だと思います。